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第回食品の機能性は有効量を前提に

矢澤一良氏

早稲田大学研究院教授

矢澤一良氏

やざわかずなが

農水省農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業専門官、早稲田大学研究院教授、「日本を健康にする!」研究会会長、日本臨床栄養協会理事、ヒアルロン酸機能性研究会会長。京都大工学部工業化学科卒。ヤクルト本社中央研究所、財団法人相模中央化学研究所、湘南予防医科学研究所設立、東京海洋大学「食の安全と機能(ヘルスフード科学)に関する研究プロジェクト」などを経て現職。座右の銘は〝全球入魂〟。

近年、食品の機能価値が注目されている。背景には、手に取りやすく身近な食品で健康を保ちたいという意識の高まりがあるためだが、「食品の機能性で重要なのは、その成分が機能を満たすだけの十分な量を含んでいるかどうか。ただ成分を含むだけでは、あまり意味がない」と矢澤氏は指摘する。
 
「日本を健康にする!」研究会会長やヒアルロン酸機能性研究会会長、日本臨床栄養協会理事として、シンポジウムや講演会を全国各地で開き、成分の有効量を前提にした機能価値への理解を呼びかけている。
 
主な研究テーマは、食による予防医学を意味する「ヘルスフード科学」だ。「京大時代に、研究室の教授からたまたますすめられた乳酸菌研究が、現在の予防医学の研究につながっているから面白い」。卒業後はヤクルトへ入社し、生菌や菌体成分(加熱により死んだ菌)のプロバイオティクスへの効果を研究した。その後、1986年から相模中央化学研究所へ。
 
腸内細菌そのものに加えて海洋生物の脂質研究を始め、86年にアジの腸内からEPA(エイコサペンタエン酸)産生菌を、96年には深海魚ニギスの腸内からDHA(ドコサヘキサエン酸)産生菌を世界で初めて発見した。生きた海洋生物を船上でさばいて腸内細菌約4万種を採取し、これらすべてをスクリーニング(機能性探索)した成果だ。「それまでEPAやDHAを作る菌がいると考える人はいなかった。誰もやらないこと、自分にしかできないことをやりたいという強い思いがあったから、地道な作業を続けられた」。
 
2000年からは東京水産大(現東京海洋大)特任教授として「ヘルスフード科学」プロジェクトを実施。予防医学的食品や医薬品素材に関する研究に加え、人間の健康維持に役立つ物質を生かした食品の設計や開発を手がけるようになった。
 
この取り組みは現職の早稲田大研究院教授としても継続している。今年11月には、自身が会長を勤めるノビレチン研究会主催のシンポジウムを都内で開く。ここでは、時間栄養学の視点でシークワーサーに含まれる成分ノビレチンの抗認知作用等に関する研究成果が報告される予定だ。
 
また今夏、新たに「パラミロン研究会」を立ち上げた。パラミロンとは、ミドリムシ(ユーグレナ)属のみが産生する機能性成分のこと。「ユーグレナは野菜や魚のDHA・EPAなど59種の栄養成分を含む点ばかり注目されているが、いずれも含有量は少量にとどまる。(乾燥重量で)最も含有量が多いのは約40%を占めるパラミロン。これは有効量に値する」と矢澤氏。パラミロンはβグルカンの一種で、免疫機能や便通改善などの働きが期待できるという。
 
最新研究では、パラミロンを約75~80%ほど含むミドリムシを大量に培養できるようになった。「機能性や健康機能の探求とともに、エビデンスに基づくパラミロンの活用を提案していきたい」と抱負を述べる。
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