ホーム > コラム > vol.102 ロジカルシンキングの陥穽

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コラム

ロジカルシンキングの陥穽

近年、ビジネスの世界で「ロジカルシンキング」という言葉をよく聞く。「論理的に物事を考えること」「相手に分かりやすく伝えること」を主眼とするらしいが、このような理論が必要になるほど、コミュニケーションというものは困難だということがいえる。

しかし一方で、ムラなくモレなく、立て板に水のごとき御仁の話に「…それで?」と聞き返したくなることが多いというのも体験的事実である。逆に理路整然としない話にも、説得力が生れることは往々にしてある。記者がお会いした多くの中小企業経営者も「この人の頭の中はどうなっているのか?」(失礼)と思うくらい非論理的な方のほうが、むしろ魅力を感じる。こういう方はロジカルな経営など教えられなくても経験的に行っており、かつそこから遠い地平にいるのである。

「ロジカルシンキング」といえば、いわゆるテレビ芸人の話術というものはその好見本といっていい。芸人のプレゼンほど説得力のあるものはないからである。

しかし全ての人が淀みなく論理的に喋り、破顔哄笑・丁々発止・当意即妙の受け答えをするという姿は、果たして健全なのであろうか。若い世代にそういったスタイルのみをカッコいいとする風潮があるのはこの社会の歪みのひとつではないのか…。いずれにせよ技術論で人間は割り切れない。(8/31)