ホーム > コラム > vol.135 食文化について

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コラム

食文化について

辻調理師学校の創設者で、30年間にわたり食文化の啓蒙に尽力した辻静雄氏の活動を記念して設けられた「辻静雄食文化賞」の第1回受賞者が決まり、このほど地元大阪で贈賞式が行われた。今回選ばれたのは、「日本めん食文化の一三〇〇年」(奥村彪生・著、農文協・刊)と、奥田政行+山形在来作物研究会の活動の2つである。

委員長の石毛直道・国立民族博物館名誉教授は、「奥村氏の著作は全国数100カ所を実地調査し、新しい角度からの研究により、日本の麺の歴史を書き換える労作である」と高く評価。また山形在来作物研究会の活動については、「庄内平野で在来種野菜を保存し、洋風の創作料理に活かした活動は、地産地消のモデルともいうべきである」と講評した。

石毛氏は伝統について「足して変化するもので創造の連続である」とし、これが途絶えると、博物館行きとなると言い切った。庄内の在来作物は、無くしたくない地元農家により細々と生き続けてきた野菜を、奥田氏という若手のオーナーシェフが洋食メニューで新たな命を吹き込んだ。

いま市場はようやく底打ちしたものの、反転するまでには至らず、「当面消費者の生活防衛が続く」(大手卸)と見られる。消費が伸びずコストアップ要素も含まれる厳しい環境下で、食文化などと違和感を覚える向きもあろうが、こんな多様な食の世界を支えること、伝統を守ることも食品産業界の大きな役割ではないだろうか。(5/24)