原油価格、穀物価格の高騰による値上げの動きは、あらゆる分野に広がり、食品等の値上げも止まる兆しが全く見えない。つい最近まで苦しんだデフレスパイラルがウソのような現象が今、続いている。あれほど値上げできなかった商品が、値上げ後1年も経たないうちに再値上げ、再々値上げとなる。
そんな中、ビール業界では2月からキリンが、3月からアサヒがそれぞれビール類の値上げを行った。値上げ前の駆け込み需要のため、ビール類の出荷は1月が前年比12%増、2月が同7%増となった。
2社の値上げ時期が1カ月ずれているため、1月と2月の駆け込み需要にアサヒとキリンの市場でのポジションがはっきり現れた。
1月はビールが6%増にとどまったのに対し発泡酒・新ジャンルが約2割増、2月はビールが2割増と大幅に伸びたのに対し、発泡酒・新ジャンルが前年割れとなり、ビールではアサヒの、発泡酒・新ジャンルではキリンのそれぞれの強さが際立った。
増税がらみを除くと約18年振りの値上げとはいえ、メーカー幹部は「原材料費の高騰の見通しは依然不透明」と再値上げの可能性を否定しない。
仮に再値上げが行われた場合、ビールから発泡酒・新ジャンルへの消費シフトを促すと見られ、アサヒとのシェア逆転を狙うキリンにとって有利となる。
原油価格の高騰は、単に価格だけではなくビール業界のトップシェア争いにも影響を及ぼしそうだ。(3/24)


