ホーム > コラム > vol.52 食品メーカーの苦境

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コラム

食品メーカーの苦境

値上げラッシュが続く食品業界だが、ある大手メーカーの社長は自社の新製品発表の試食会場で「値上げの浸透は6対4で交渉が進んでいる。赤字が出るものは断れと指示しているが、今のところ1つもなく、すべてプラス」と胸を張った。

 

ただ、少し前に行なった株主総会で、初めて個人株主の質問攻めに約2時間を費したと笑う。「もっと安全を全面に出せ」「株主が試食できるチャンスを」など客を大事にせよ、というもの。確かに各種株主優待を行う食品メーカーはあるが、それぞれ得意分野も異なり「テレビCMまで要求されても困る」と苦笑い。

 

もちろん、こうした株主の意見を汲み、もっと風通しの良い分かりやすい企業、見えやすい経営を希望していることを理解した上で、今後に生かしたいとも語る。そして、「私自身は史上最高の利益を上げたいと思っているくらいで、今年は間違いなく大丈夫」との余裕ある対応ぶりに、確かに昨年とは違う力強さを感じた。

 

ところが、同会場に同席した別の最高幹部は、「6月から中国製品も回復基調で安堵しているが、検査体制等のために費用は加算する一方で、(値上げも含め)価格浸透は追っかけっこ」と、減収減益に歯止めをかけるのが精一杯との表現に、これはこれで理解しつつも戸惑った。

 

国産好きの日本人と、価格訴求を緩めない「消費者」の狭間で翻弄される食品メーカーの苦境を垣間見た気がした。(8/11)