ホーム > コラム > vol.55 安易な自給率向上策は・・・

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コラム

安易な自給率向上策は・・・

日本の食料自給率は、ここのところ約4割で推移しているが、世界的な原油高に発した穀物価格の高騰から、食料自給率への関心が俄に高まってきた。

 

日本の従来からの穀物調達に、「もはやお金を出して買える時代は終わった」と言い切る識者もいる。まして日本の食料自給率が主要先進国の中で最低水準にあり、穀物自給率にいたっては、人口1億人以上の11ヶ国中最低、さらに世界の人口増加により、穀物の需要が2050年には、2000年の1.6倍に増えるという予測もあり、危機感は膨らむ一方だ。

 

日本の食料自給率は1960年には約8割だったが、この50年でその半分まで低下した。その主要な理由は食生活の変化で、米に替わって、畜産物、油脂類の消費が増え、輸入が急速に拡大したことによる。

 

一方、米の消費減は、自給率向上のカギを握る農業の衰退を招いた。このため日本農業は自給率向上よりもブランド化など、生き残るための作物作りに必至だ。国産農産物の輸出促進などはその象徴だが、それが自給率の一層の低下につながっていることは皮肉なことだ。また、一方で膨大な食品が廃棄されている事実もある。

 

こうした状況で自給率4割を単に低いとは言えない。生産と消費のチグハグさを無視した自給率向上論議は机上の空論にすぎない。まして生産調整が行われている米の増産など、安易な自給率向上策は、百害あって一利なし。(9/1)