堺市の学校給食でO‐157による食中毒事件が発生してから12年が経つ。翌年には「大量調理衛生管理マニュアル」が通達され、HACCPという衛生管理手法が導入され給食業界の安全性は大きく改善された。
ところが、日本の給食を世界的レベルで考えたとき、その衛生管理は「安全・安心な食の提供として日々難しくなっている」と話すのは宮川フードサービス研究所の種田由紀子所長だ。
日本は衛生管理のノウハウとそのグッズだけが一人歩きし、現場では衛生管理に膨大な時間をかけるが非効率で、全体的に衛生レベルもさほど向上していないと現状を嘆き、「欧米に比べ大きな問題点は、不十分な科学的管理、ハードとソフトのミスマッチ、働く人を大切にする設備や教育制度の不足」と衛生管理向上の基本を教える。
特に、人材不足や人材難に苦しむ日本の給食現場にとって驚くべき例は、スイスのチューリッヒ私立病院で、厨房場所が病院正面の入口に設置されている点だ。
「約1000平方メートルの厨房からは、どこからも外の広々した芝生が見え、自然換気で天井高は3メートル、照明はすべて埋め込み式で作業空間は悠々としていた」と、種田氏は快適空間への感動を述べ、調理者が大事にされる結果、「自信と誇りを持った人が給食現場の仕事にあたっていた」と話す。
給食に限らず、今の効率一辺倒に傾斜する日本の環境を考える上で大いに役立つ概念だろう。(9/22)


