食の安全・安心がキーワードといわれて久しいが、また大きな事件が続発した。一つは三笠フーズなど一連の非食用米の転売問題であり、もう一つが中国製牛乳へのメラミン混入問題だ。どちらも日本国内の消費者に目立った健康被害は出ていないのは幸いだが、事故米を原料として製造した酒類、米菓などのメーカーや、中国産乳製品を輸入した企業などが製品回収を行い、多額の費用負担を強いられている。その面では被害者なわけだ。
また、今回の両事件とも、関係者の過失ではなく、全くの故意から生まれたことが、消費者の不安を増大させている。商売(事業)を行うとき、自己の利益だけを求めるのではなく、他人のためにならなければならないと古くから言われるが、今回の事件を見るとまさにその通りだ。
その一方、ホッとする出来事もあった。三笠フーズの一件で、鹿児島や熊本などの焼酎・清酒メーカーが自主的に混入の可能性を発表し製品の自主回収に踏み切った。中小メーカーにとっては回収費用の負担は大きいはずだが、消費者の安全を第一に考えた行動であり、評価に値する。
本格焼酎はひところのブームが下火になっているし、清酒業界は勢いが見られない。しかし、今回の事件後の素早い行動は関係業界だけでなく、マスコミにより消費者にも伝わっている。瞬間的にはマイナスではあるが、消費者の信頼を高めたという点では、大いにプラス。人間万事塞翁が馬。一工夫を加え、転機にして欲しい。(10/6)


