「白玉の 歯にしみとほる秋の夜の 酒はしづかに 飲むべかりけり」(若山牧水)
猛暑で厳しかった今夏であったが、さすがに10月も下旬になって秋らしさを感じさせる気候に、そして燗酒が恋しくなる季節を迎えた。しかし、今秋ばかりは「酒はしづかに飲むべかりけり」とはいかないのが「事故米」事件である。
9月5日に農林水産省は、コメの卸売り加工業者「三笠フーズ」が農薬やカビなどに汚染された非食用の事故米を食用に転用していたと発表。調査が進むにつれ「事故米」の流通先が多岐に渡っており、清酒業界でも少なからずの災難を被った。現在はメーカーへの問い合わせはほとんどなくなったようだが、依然風評被害は続いている。
食の安心・安全がこれほど叫ばれている中で起きた今回の「事故米」事件は、自らは十二分に対応していても、外的要因で安心・安全が脅かされることもあり、如何に安心・安全対策が難しい課題であるかを示している。とは言え、今まで以上に対応は求められてくる。そして対応には当然コストがかかる。
高品質の原材料を安定的に確保し、質の高い、高付加価値商品を提供するにはそれに見合ったコストがかかることは必定である。とすれば、コストに見合う製品価格の確立、ガイドラインの堅持が清酒業界には一層求められている。
白玉(真珠)のようなすばらしい清酒を楽しんでもらえる清酒造りのために。(10/27)


