ホーム > コラム > vol.74 ご法度にしたい不景気の話

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コラム

ご法度にしたい不景気の話

2000年以降、円安で自動車・電機などの輸出型産業は大いに我が世の春を謳歌してきた。当時、ある食品メーカートップは「正直、羨ましい」と漏らしたが、今は昔である。先日、賀詞交換会で会ったそのトップは「今、食品企業は財界の垂涎の的になっている」と溜飲を下げて(?)いた。

 

しばしばドメスティックな産業の象徴とされる酒類食品産業だが、少なくともその商品は、国内で毎日消費され続けるものである。高級品を除いて2割、3割減といった極端な話は出てこない。「21世紀に果たして自動車産業が必要とされるのかどうか」といった「100年に1度の危機感」(トヨタ)は持てというほうが無理であろう。

 

米国の自動車ビッグ3が雁首を揃えて政府に救済措置をお願いしなければならないというのは、どうみても経営の失敗である。人類が20世紀に自動車の普及によって得たものは大きいが、地球環境や交通戦争など失ったものもまた大きい。ビッグ3の経営陣がモータリゼーションの終焉を予感していなかったとしたらそちらの方が信じがたい。

 

酒類食品はささやかではあるけれども日々の暮らしを明るく、楽しくしてくれる。「私たちが明るい話題を発掘して、全国に発信する、そういう産業にしたい」(あるビールメーカー幹部)。そろそろ暗い話は聞き飽きた頃でもある。(2/2)