ルネサンス・プロジェクトは元三井物産マンの中村鉄哉氏が2006年3月に立ち上げた酒販ベンチャー企業だ。九州各地のこだわり蔵元の造るプレミアム焼酎や焼酎リキュール等を商品開発し、販売している。
焼酎で名を馳せた同社だが、九州での蔵元発掘、新焼酎開発のノウハウを生かして、昨秋からボルドーからビオワインシャトーを開拓した。現在22ブランドを数えるが、全てビオワインだ。
中村社長は22年間、三井物産に勤め、最後の8年間の九州支社の部長のときに、本格焼酎の魅力にとりつかれ、地方の隠れた銘品を東京や大阪に売り込んだ。その実績が蔵元に認められ、自ら会社を設立した。
現在、従業員9名で年商14億円。酒販ベンチャーといっても、「酒販という括りでは考えていない」。このほど福岡でグルメ雑誌を創刊した。編集も自社内で行い、300円で1万部を販売。2号目は3万部刷るという。
「マーケティングはプッシュだけではだめ。雑誌を通じて、飲食店での焼酎・ワインを魅せることにより、是非この商品を扱いたい、と思わせるようなプル型のマーケティングが重要だ」。
焼酎ブームも冷静に見ている。「供給過剰は誰が見ても明らか。いかにセグメンテーションを明確にして、それに対応した商品開発と流通チャネルの構築をするか」で優勝劣敗が決まると指摘する。
「マクロな視点で見ると、マーケットのパイは減る。しかしミクロには勝機がある。ニッチに特化した戦略で、着実に堅実に販売する。それがいつか新しい本流になればいい」と語る。
「経営は攻めだ」と言い切る。「消費者の動きは速い。一生懸命やらないと変化に対応できない。生き残るのは変化に対応したところだけだ。常に半歩先を見つめる。全てがヒットするわけではないが、打席に立ってバットを振り続ける必要がある」。
マザーズなどのベンチャー証券市場に上場する予定だったが、「経営資源を上場のエネルギーに使うのはもったいない。本業に集中する」として取りやめた。「上場するのはコンプライアンス対応とか監査とか、労力・資金・エネルギーが必要。しかしそれでは本業がおざなりになってしまう」との危惧からだ。
「危機に直面したときの迅速な舵取りが経営者の仕事。例えば昨年8月の福岡の飲酒運転事故はひとつの危機だった。業務改革を行い、危機に対応した結果、売上はプラスで推移し、安定的な軌道に乗った」。
流通チャネルはイズミック、三陽物産、サカツ、わしづなど、地場卸の雄が勢ぞろいする。「商品を説明して丁寧に売っていただいている」と強固なパートナーシップを築いている。
「市場に神は宿る。一生懸命やっていれば、必ず神様は微笑んでくれる」と確信を語った。(9/27)
中村鉄哉(なかむら・てつや)
1979年北海道大学経済学部入学、82年マサチューセッツ州立大学に留学、84年北海道大学経済学部卒業。84年三井物産入社、06年同社退社。06年株式会社ルネサンス・プロジェクト代表取締役就任。福岡にこだわる理由は「九州文化の代表である焼酎を扱っていることもあるが開放的な土地柄が合う」。


