2009年2月に約260人を擁する研究所の所長に就任してほぼ半年が経過した。この間、今年12月から始まる次の中期経営計画に対応する研究・商品開発の体制作りにさっそく着手した。
「これまで、戦略技術・素材の創出を目指し、技術力の深掘りに取り組んで来た。その基礎力を基に技術を開花させ、本当にお客さんに喜んでいただける商品を開発する集団にするのが私の役割と思っている」と述べる。そのために整備したのが「開発プラットホーム」と「技術プラットホーム」の2つの全社対応型コミュニケーション体制だ。
「今度の中計では戦略的開発へ転換する必要がある。商品開発本部と協力して、お客様視点に立って本当に必要なものを洗い出し、その中から当社の技術を発揮できる、あるいは当社でなければできないテーマを決めること。これが戦略的開発として一番大切なこと」と述べる。
それを具体化するのが「開発プラットホーム」だ。研究所、商品開発本部に加え、営業、生産、品質保証各部門も入って議論を深める。「以前から行っていることではあるが、言葉として立ち上げることでその目的意識が高まっていく」という。生産、品質保証部門が加わるのは、開発段階から生産体制を検討し、さらに安全対策、表示問題などのリスク評価をクリアすることで発売までのスピードアップを図るためだ。グループの英知を結集して消費者の真のニーズを具現化するシステムであり、すでにスタートしている。
もう一つの「技術プラットホーム」は、グループの技術者のネットワークとなる。「技術立社を掲げており、一人ひとりの研究者の技術力は高まってきた。しかし、これまでは、それぞれの専門の中だけで完結しており、影響し合うことによる飛躍は散発的であった。もし、いろいろな要素技術を持つ人が集まってコミュニケーションをとれば、高いレベルの仕事が一挙にできる可能性が大きく広がる」。
「昨年発売した『レンジクック』は電子レンジ調理というアイディアが生きた便利なものだが、完成までは苦難の連続だった。そこにはグループの技術の連携が生かされている」と例をあげ「しかしこれまでは、開発担当者とその部署内だけでの創意工夫で終始することが多く、部門を越えた技術交流は充分ではなかった。技術プラットホームという場で、グループの英知を結集することが促進されて行く」という。研究所だけでなく、グループ企業とも連携を図り、各部門が持つ技術や研究テーマのデータベース化も実行していく考えだ。
そしてこのシステムの魂となるのが社是である『楽業偕悦』だ。「この2つのプラットホームを円滑に進めるのが私の役目。英知を集めることを楽しみ、成果を悦び合うことが、正しく社是の『楽業偕悦』である。魅力ある商品開発や新しいアイディアは一人ひとりの気持ちが盛り上がらないとできない。そういう研究所、会社にしたいし、まさに当社の経営の基本的考え方と思う」。システムと精神が一体となることで、消費者が真に求める商品が出来上がるのも近いだろう。(10/29)
和田義明(わだ・よしあき)
1953年東京生まれ。78年キユーピー入社。研究所研究2部長、研究1部長、商品開発センター長などを経て06年3月に品質保証本部長、今年2月から現職。趣味は13年前から始めた詩吟。「健康法の一つとしてやっている」。奥さんと子供3人の5人家族。


