ラムネや地サイダーなどの炭酸飲料を柱に、静岡を拠点として展開する木村飲料(静岡県島田市、1953年創業)。今年は飲料市場で炭酸飲料カテゴリーが好調に推移したことや、ハイボール人気で炭酸水の販売が好調だったことを追い風に、過去最高の売り上げを記録している。
木村飲料といえば、創業当時から製造している「元祖ビー玉ラムネ」が、ノンアルコール炭酸飲料として、日本初となるモンドセレクション金賞を2008年まで3年連続で受賞していることで知られている。
しかし、最近では話題性のある新商品を投入し、「お茶らむね」「辛口わさびらむね」「激辛カレーラムネ」などの変わり種ラムネが、マスコミに数多く取り上げられたことから注目を集めた。
木村英文社長は、「大手メーカーのように優秀な部員や研究員がいなければ、商品開発はできないという思い込みが私の中にこれまであったが、現在では中小企業の親父でも(商品開発は)可能だと感じる。あんまりのんびりしていると他社に先取りされてしまうので、思いついたらすぐに作ることが重要だ。当社にはどんな味でも作ってしまう、味の魔術師(木村寿之専務)もいる。現在の1番の実験室は専務の狭い机の上だが、商品開発としてはそれが最も早い方法だ」と語る。
月に1つは新商品を発売している同社だが、来年からは開発のスピードを上げ、月に2~3品を投入する。「カレーラムネ」以上にインパクトのある商品もお目見えするようだ。
新商品開発の進む同社だが、課題は他社の悩みと同じく価格競争に巻き込まれてしまうことだという。そこで、販路ごとに商品を分けることへ取り組み始めた。
「当社はスーパー、観光地、一般小売店、それぞれで取り扱っていただく商品を分けている。だからアイテム数が非常に多い。たとえ中身が同じでも、高速道路のサービスエリアと一般店で売っているサイダーはラベルを変えている。土産物屋さんには変わった商品を売ることで、しっかり利幅をとって儲けてもらいたい。スーパーにはたくさん扱っていただいて、安く顧客に提供していただく。今までは同じ商品でそれをやっていたから、売る方にもとまどいがあった。業態に合った商品を展開していくことで小売店に元気になってもらいたい。小売店が元気になればうちも元気になる」と話す。
来年度のテーマは「地域おこし」。これまでも面白い商品を土産物屋とその地域限定で販売していたが、その取り組みを進める考えだ。
「たとえば、吉田町(静岡県)限定の商品であれば、欲しい人は買いに来るしかない。そうすれば人が集まってくるし、店の数も少ないため行列ができる。中小企業はお客さんの方から買いに来てもらうことが必要だ。地域や業種を限定し、それに見合った商品を作り話題を提供していきたい」。
競争が激化する飲料市場の中で、メーカーの存在価値を高める実践が静岡で行われている。(12/3)
木村英之(きむら・ひでふみ)
商品開発について、「中小企業は気合で作ればいい。スピードが大切」と語る。新商品は「私のお願いかなえてくだサイダー」(340ml瓶)。ラベルにサンタクロースと靴下のイラストを入れ、お願いごとが記入できるようになっている。「お子さんからプレゼントの希望を聞き出せない親御さんに、家族のコミュニケーションツールとして使っていただければ。クリスマスには『シャンメリー』で乾杯してもらいたい」。


