毎年5月の連休明けあたり、東京ビッグサイトで開催する「ホビークッキングフェア」の主催団体代表として、並々ならぬ意欲を示すのが流通問題研究協会の会長、三浦功氏だ。
この三浦会長、日本ホビー協会の初代専務(現在は顧問)でもあり、33年も続いている「日本ホビーショー」を仕切ってきた。「ホビーショーは、クラフト(手芸)の展示会としては日本最大。30年以上続けるうち、来場者に訊くと、特定のニーズが浮かびあがってきた。その一つが『おいしいものを食べたい』というニーズ」と三浦会長。これがホビーショーと「ホビークッキングフェア」の併催へと結実したのは昨年、2008年のことだ。
初年度の昨年は51社が出展。2年目の今年(2009年)は79社に増えた。「いわゆるBtoBの展示会なら分かるが、BtoCの展示会で来場者規模が10万人というのはちょっと稀。ただしホビークッキングフェアの場合、単純なBtoCではない。明確に打ち出したのが今年で、『BtoCtoB』というコンセプトを据えた。つまり出展内容に反応した消費者を、小売や営業に見てもらおうというものだ」。この考え方、「2年やって少し浸透した」と三浦会長は指摘するが、「物産展のようなものと考えて『(品物が)売れなかった』と出展をやめた企業もあるが、そういうことではない」とも。
「おいしいものを食べたい」というニーズは、単に食品を買うことを指すのではない。「『食べ方』、食べ物の『見せ方』や『作り方』の提案が主。来場者は、何がしかの『発見』のためにやってくる。複数のブースを見て回るのではなく、一つのブースにとどまっている光景が数多く見られた」。このため三浦会長、「ただ商品を置いておくだけの展示はダメ。体験型がいい。ちゃんとマーケティングをやっている企業は、単なる宣伝の効果に疑問を抱き始めている。お客さんと『一緒に考える』ことが重要」とする。
ただ「無償配布ではなく、100円でもいいから買ってもらって作って食べるのがいいのだ。人間はお金を払うと、その払った行動を合理化しようと行動する心理が働く。落ち着いたコミュニケーションになるし、食べてもらう機会の提供にもなる」とも。
三浦会長は現在の量販店流通を「ライフライン流通」と呼ぶ。「これはこれで必要で、どこでも買うことができる便利さがあるが、個性がない。同質な商品なら安いものに走るのは当たり前。結果的に価格競争に陥る」として、「ライフスタイル流通」を提唱する。「個性を大事にし、消費者にも努力や楽しさを求める。自分でやるから楽しいし、結果的に安くなる。最近だと弁当で火がついた。『キャラ弁』や『飾り寿司』。今ではプロまでいる」。
こうした考え方を目に見える形で提供する場、2010年5月6~8日、第34回日本ホビーショーと併催する第3回ホビークッキングフェアの出展者募集も、もう始めている。「来年は出展面積を拡大する」と三浦会長。実は日本ホビーショーで培ったニーズには、「おいしいものを食べたい」のほかに、「いいところへ行きたい」がある。「つまり『食と旅』だ。来年か再来年には『旅』も浮上してくる。旅に行く動機の一つは、旅先でおいしいものを食べたい、だ。いずれ食と旅が互いに連関しあっていく」。(12/17)
三浦功(みうら・いさお)
1936年生まれ。青山学院大学卒。日経映画社、日本リサーチセンターを経て、63年から流通問題研究協会の設立に参画。専務、副会長を経て2007年から現職。この間、神奈川大講師、日本商店連盟常務(現常任顧問)、日本ホビー協会専務(現顧問)、中小企業大学校講師、日本マーケティング塾代表(現取締役常任講師)なども歴任。マーケティングリサーチや経営指導などで各方面から引っ張りだこ。著書も多数な73歳。


