ホーム > この人の出番 > 第108回 オカフーズ 副社長 原幸雄氏

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この人の出番

魚食「食文化」継承に取り組む オカフーズ 副社長 原幸雄氏

水産品を使った冷凍食品の製造販売を手掛けるオカフーズ。ブランド構築による、商品価値の訴求に取り組み、業界内で存在感を示している。

現在、冷凍切り身の「切身百選」、焼き魚の「築地グリル亭」、イカ加工品の「いか本舗」の3ブランドを展開。今後、煮つけや干物などを括る第4のブランドを立ち上げる計画だ。

これまで関東(川崎市・東扇島)の1か所に集約してきた在庫拠点にも、昨年新たな展開を見せた。「物流の問題から、関西や九州各地からの要請にこたえられない部分があった」ため、09年、新たに関西と九州に拠点を置いた。

新拠点の対象商品は今のところ、「切身百選」と「築地グリル亭」の2ブランドだけだが、「在庫拠点を置くことによって、両地域で積極的な営業活動を行える体制が整った」。提案営業を強めて、ブランドの強みを生かしていく方針だ。

このような事業展開と並行して同社には、水産物や中国製品についての啓蒙活動に積極的に取り組む企業としての側面がある。

原副社長自ら、栄養士を対象とした講演や、学校での体験学習などを担当。昨年末にも埼玉県の所沢市と新座市で栄養士を対象とした講演を行ったばかりだ。

「世界と日本の水産事情」と題した講演は、世界の需要の増加と日本の需要の減少や、供給者側の環境悪化といった状況の説明にとどまらない。食品衛生法上の残留農薬等の基準単位「ppm」の意味や、基準違反に対する考え方、魚食文化や五感を使った食のすすめなど食育にまで話は及ぶ。

「知ってもらえば、過剰な報道が事実と違うことも理解してもらえる」。一昨年の中国製餃子による中毒事件の際にも、講演を聞いた学校からは報道と実情が違うことへの理解の声が届いた。

一方、子どもの「魚離れ」が言われて久しいなか、魚のおいしさを伝えていくことが、ひいては水産食品に携わる同社の利益にもつながる。

先ごろ中学校2年生の家庭科の授業で、サケを切り身にして食べる調理実習を行った。同社社員が3枚におろしたものを、生徒が切り分ける。包丁を使えない生徒も多いが、「切り身になって始めて『コレ、見たことある』と声が上がったことには驚いた」。

当初1クラスの予定だった小学校5年生の授業も、1学年全体でとなり、父兄の観覧も、と規模が広がった。

「こんなにおいしい魚を食べたことない。また食べたい」という感想も聞かれたという。取り扱いの簡便性や食べやすさから、骨のない魚調理品に慣らされた子どもに、本来の水産品の味を伝えることができた。

「食文化を伝えていくことはメーカーの責任でもある」。食品を製造して、生活者に食べてもらう以上、食文化を守り、育てていくことは企業規模の大小を問わず、メーカーの責務でもある。(01/21)

原幸雄(はら・ゆきお)
65歳。マルエツで長年、人事を担当。販売担当に移り、千葉や埼玉の販売本部長などを務めた。マルエツで役員を10年ほど務めあげ、退職後オカフーズに入社した。岡孝社長とは同郷の幼なじみ。バイクや自転車、船舶など豊富な趣味を持つ。50代後半には登山にも取り組み、2年半をかけて沢登りやロッククライミング、冬山までの講習課程を修めた経験も。ゴルフもスクールに入って打ち込む。