ホーム > この人の出番 > 第111回 SBS 代表取締役社長 吉田和司氏

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この人の出番

酒類全般のソリューション企業へ SBS 代表取締役社長 吉田和司氏

SBSは「サケ・ビジネス・サポート」の意。ビジネスソリューションと卸売・販売代行を行う「酒類コーディネーター企業」だ。メーカー、卸、小売のサプライチェーン全体で「全ての方の不足や不満を解消する」ことを事業方針としている。

業務内容としては「卸売」「コンサルティング」「教育研修」「人材派遣」「M&A」「販売媒介・仲介業務」の6つに整理できるが、そのいくつかが重なりつつ進行する場合が多い。クライアントは現在40社。うち日本酒蔵60%、焼酎蔵20%、その他20%。大手ビールメーカーの営業マンを対象に、教育研修も手掛けている。

いわゆるコンサルティング会社と違うところは、側面的支援に終わらない点だ。一般的にコンサルティングは、助言するのみで実行主体はあくまでクライアントだが、同社では「それで立ち直るほど酒類メーカーの危機は浅くない」(吉田社長)として、販売も含めて一緒に再建に立ち上がることを事業としている。

吉田社長はもともとマルエツのバイヤー出身だ。「酒類業界の風雲児」として知られる元合同酒精(現オエノンホールディングス)常務取締役営業本部長・北澤征夫氏に請われて若松酒造に入社、2008年に独立して酒類業界のソリューション企業、株式会社SBSを立ち上げた。

元福徳長酒類社長、前若松酒造社長を務めた北澤氏は代表取締役会長に就任し、二人三脚で事業をすすめている。また非常勤取締役に元ローソン社長の藤原謙次氏を招聘するなど多彩な人脈を物語る。

「クライアントとWIN・WINの関係をつくる」(吉田社長)ために現在、顧問契約を含めて34名を抱える従業員のうち、営業サポート要員を派遣したり、場合によっては在京の営業所のような役割もこなす。顧問は60歳前後の酒類業界のベテラン勢を登録し、難易度に応じて報酬を受け取る。このようなシステムで同社は、すでに初年度から黒字化を達成した。


「伝統産業である酒類製造業は、急には変われないし、変えるべきではないこともある。じっくりと打ち合わせして、お互いに信頼関係をつくることを心がけている。性急な成果ばかりを求めるところには説得することもある」という。

営業企画やバイヤーへのプレゼンテーション資料まで作成代行するのは、ある意味で「泥臭い」ともいえるかもしれない。しかし、それが出来ることこそが同社の強みだ。それもバイヤーとして現場の事情に精通した経験を持つ吉田社長はじめスタッフの力量があるからこそといえる。

吉田社長は創業の理由を「40年、この世界にいた北澤会長の『恩返し』という側面が大きい」と振り返る。酒類業界は90年代の小売酒販免許の自由化の波に洗われる形で、低価格競争が急速に進行し、企業のダメージはいまなお深い。

しかし「単に安売りの是正だけで業界がよくなるわけではないのでは」と疑問を呈す。売れないと嘆きながら、適正とはいえない値段設定をしているメーカーも散見される。「業界の活性化、正常化につながる仕事をする。これこそが『恩返し』ではないか」と語った。(2/11)

吉田和司(よしだ・かずし)
1985年マルエツ入社。店舗経営を経て、加工食品バイヤー、酒類バイヤーに。2002年酒類・米穀類チーフバイヤー。同社退社後、焼酎メーカーの若松酒造に入社、常務取締役経営企画室長。08年同社退社後、株式会社SBSに入社、同年代表取締役に就任。酒類メーカー・卸・小売からビジネスサポートの多数依頼を受け活躍中。趣味はゴルフ、読書。二児の父。