ホーム > この人の出番 > 第113回 ニッコクトラスト 代表取締役社長 飯田五郎氏

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この人の出番

日産30万食の委託給食で最古参 ニッコクトラスト 代表取締役社長 飯田五郎氏

ニッコクトラストは本社を東京・千代田区の大手町ビルに構える。設立1941年の戦時中から委託給食業を営む老舗、というより業界最古参だ。社名を「日本国民食」から1992年に現社名に変更。事業は順調に推移し、現在連結売上高は420億円の実質無借金企業。外食業界全体の売上高ランキングで50位前後、給食企業では10位前後に入る上位中堅企業である。

日産食数は約30万食。全従業員は約8500人で、栄養士が約700人、調理師も約1600人。飯田五郎社長は「グループ全体で約従業員1万人、家族を合わせ3万人。経営者として社会的責任を感じる」と話す。

今の給食市場を「少子高齢化による成熟産業」と見る社長は、「企業内給食が減り、全体のパイも縮小。委託先はIT等の合理化で社員を減らし、食堂食数の減少から売上高も前年比10億円が減少した」と話す。

古い歴史を持つ同社に、飯田社長は取引銀行の支店長から51歳で取締役として入社、06年に5代目社長となった。同社の強みは事業所給食で、単体の約380億円の売上高のうち、医療関連が70億円、学校給食は40億円、残り約270億円が事業所給食と、「総売上高に対する事業所比率は大手給食会社に負けない」と胸を張る。

手作りの食事サービスも強み。その日に材料を仕入れ、カットして調理する。「人件費や水道光熱費はかかるが、手の込んだ調理は今でも好評」と自信。同社の理想の給食である「心のこもった料理」「にこやかなサービス」を徹底実践する。

環境問題も08年にセントラルキッチンを千葉県浦安市に建設し、1日1万食対応の工場を稼動させて食品廃棄物問題にも対処する。他に高品質の食事サービス提供に向け、業界に先駆けて衛生管理と栄養調理の専門部署を設置した。独自の衛生管理基準に基づく年間スケジュールで社員教育を行い、健康メニューの開発や卓上メモ・衛生管理ポスターなどの充実を図る。

最近の小売・外食における低価格の嵐で、値下げ要請や管理費ダウンの要請が強まっているのが大問題とし、「今はデパ地下弁当、量販店PB(プライベートブランド)、コンビニの値引きと、これで給食だけ期待されない方がおかしい」とボディブローの効きを嘆く。このままでは食数激減に衛生管理や人材育成の費用が嵩み、結局学校やシルバー施設に方向転換する業者が膨らむとの危惧も強い。

「安定的だが、あまり儲からない」のが給食。しかし飯田社長は「いまは安定的で、そこそこ儲かれば良い」と言い切る。そこで市場の余地の高い学校と医療・シルバー施設を重要課題にする。特に「学校ではPFI制度は委託環境が長く続き高メリットで、医療分野も保険制度や箱ものが充実した」との考えから、「手作り感は現場が小さいほど生き、受託現場で信頼されれば次々広がり信用力も増大する」と自社現場力で夢は膨らむ。

グループ全体で目標500億円達成の実現へ向け、中期経営計画も見直した。「外食は感性、給食は思想」の概念で今も業界を率先する最古参ならではの歴史がものを言わせる。(3/4)

飯田五郎(いいだ・ごろう)
1947年生まれ。69年慶応義塾大学法学部卒、太陽銀行(現・三井住友銀行)入行。98年ニッコクトラスト入社、取締役。04年常務取締役、06年代表取締役社長。趣味は月2回のゴルフと歴史書の読書。江戸・明治期の歴史的人物の動きや考え方が参考になるという。座右の銘は「日々全力投球」「至誠天に通ずる」。健康法は銀行時代から続く水泳と散歩。週1回は1000mを泳ぎ、朝4時50分に起床し犬の散歩も行う。