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この人の出番

伝統の全州マッコリを日本へ 全州ジャパン 社長 李明植氏

近年、酒類市場の縮小がささやかれる中で、ウイスキー・ハイボールや低アルコール飲料(缶・瓶入りチューハイ、カクテル等)、ビール系新ジャンルなどとならんで数少ない成長分野と目されているのが、日本のどぶろくに近い韓国の醸造酒、マッコリである。

アルコール度数6~8%程度で飲みやすいことに加え、食物繊維、乳酸菌、アミノ酸といった成分を豊富に含み、健康・美容といった観点からも注目されている。本国・韓国でも幅広い世代に見直され、ブームの様相を呈しているという。

日本国内でのマッコリ市場は、現在20億円ほどと目されているが、韓国料理店・焼肉店ばかりか、居酒屋チェーンなどでのメニュー採用が増加していることに加え、焼酎大手の眞露ジャパンが2010年3月2日に「JINROマッコリ」を発売したことなどにより、カテゴリー全体としての更なる成長が期待されている。

昨年(2009年)5月に設立された全州ジャパンは、そのマッコリ市場に昨年12月より参入。先ごろ開催されたフーデックスやドラッグストアショーといった展示会に出展するなど、精力的に活動している。

同社の李明植社長は、「マッコリは地域に根差した歴史ある酒で、古い工場が多いため、品質にばらつきがある。そのため、以前にもマッコリの輸入を手掛けたことがあったが、クレーム対応に追われることがあった。韓国・全州酒造は昨年、新工場を建設し、伝統的製造方法を守りながらも最先端の現代的衛生設備を持つ。私は全州の大学を出ており、知己があった関係で話があった」と言う。

全州(チョンジュ)市は、韓国西南部の全羅北道の人口50万人ほどの都市。韓国料理、ビビンバの発祥の地としても知られる。全州酒造は、同市で最大のマッコリメーカーだという。

「当社が扱う『全州米マッコリ』などの製品は、原料米・麦に契約栽培の(韓国)国産を100%使用している。日本と同様、小麦の自給率は非常に低く、安心・安全の面で差別化できると考える」という。

また、マッコリ以外に日本の甘酒に相当する全州の伝統的な飲料「全州母酒」も2010年4月から販売する予定だ(同品はアルコール度数1%未満で酒類ではない)。

「従来は各料飲店で作っていたが、一応アルコールを含むこともあり、あまりほめられたものではなかった。ただ、伝統的なものを残すという意味で、当局のバックアップもあって全州酒類が手掛けることとなった。私としては、全州の伝統を伝えたいという意味でも重視している。日本では今のところ当社だけが手掛けるが、近年はノンアルコールビールなどが注目されていることもあり、先頃の展示会などでは面白いという声がかなりあった」とも話す。

一方、日本でのマッコリブームについては、「さまざまな会社が参入する中で、並行輸入などあり、トータルとしての品質がコントロールできるかが心配。不幸にも問題が起きると、マッコリ全体への信用低下にもつながってしまう」と危惧する。

今後、「地酒」であるマッコリが盛り上がる中では、韓国の地域性にも目が向く可能性がある。そうした中で、マッコリの重要プレイヤーとして、また、全州を代表するマッコリとして、同社の注目度も高まるだろう。(4/1)

李明植(り・みょんしぐ)
大学では食品加工を専攻し、自然食品などを手掛ける韓国・PULMUWON食品に勤務。15年ほど前から日本にしばしば訪れるようになり、日本在住約10年になる。堪能な日本語は独学で学んだ。現在は韓国食材輸入卸を手掛ける(株)大山の顧問も務める。2人の息子はともに韓国の大学へ留学中