ホーム > この人の出番 > 第118回 竹屋 取締役社長 藤森郁男氏

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この人の出番

カナダ産大豆の普及で感謝状 竹屋 取締役社長 藤森郁男氏

今日の日本の食品大豆市場でカナダ産大豆は欠くことの出来ない大切な供給源になっているが、30年以上前では現在の状況は想像も出来ないものだっただろう。日本におけるカナダ産大豆の普及には、「タケヤみそ」でお馴染みの竹屋の藤森郁男社長の存在なくては語れない。

藤森社長はその尽力と功績が称えられ、今年(2010年)2月末にカナダ農務・農産食品省(AAFC)から感謝状が贈られている。

藤森社長はカナダ産大豆との出会いについて、「30年前の日本のみそ業界では、中国産大豆を中心に使用していたが、別の供給先も必要ではないかと感じていた。そこで小さなリクエストにも応えてくれ、関係者のチームワークがいいカナダに期待したのが全ての始まりだ」と語っている。

当時を振り返り、「1970年代のカナダでは大豆を食べるという発想がなく、みそを『ボタニカルチーズ』と説明し、みそ汁を『モーニングコーヒーのようなもの』と説明することから始めた。そのため当初は食品としての大豆を一から説明していたが、現在は『みそ』で通じるほどになり、うれしく感じている」と現在の心境を語る。

「当初はファックスやインターネットが普及していなかったことから、コミュニケーションを取るには、電話をかけるか現地に出向くことが多く、今日と比較すると費用もかさんだ」と笑いながら話したが、その忍耐力と努力は並大抵のものではなかっただろう。

続けて藤森社長は、「約30年前の日本では、カナダ産大豆使用量は年間約5,000tだった。しかし、現在では約35万tまで増加している。カナダは政府と大豆生産者・農業団体などの連携が非常に優れており、短時間できめ細やかな対応をしてくれたことが本日の使用量につながっているのだと思う」とカナダ産大豆の普及について分析した。

さらに、「カナダは大豆生産量が少ないことが幸いし、食品大豆の開発に非常に熱心に取り組んでくれ、ユーザーの要望に最も耳を傾け、実行してくれる国だと感じている。カナダとの出会いは、自分の人生の中で大きなウェイトを占めることになった」とカナダに対する熱い思いを語った。

カナダ側からは非常に腰が低く、尊敬すべき人物だと言われているが、それに対して藤森社長は、「地方のみそメーカーだからこそ取り組むことが出来たのだと思う。また、約束したことを守っただけのことだ。カナダに食品大豆を生産してもらうにあたって自社の利益を追求していたら、カナダ側からは信用してもらえず、今日の関係は築くことは出来なかったと思う。会社のことだけでなく、日本のみそ業界の将来も考えて取り組んできただけのことだ。今後もカナダと日本の食品大豆の関係が末永く続くことを期待している」と静かに力強く語った。

藤森社長が長い年月をかけてじっくりと構築してきたカナダとの関係は、強固なものであることに間違いはなく、業界の誰もが今後も力強い関係が続くことを期待している。(4/8)

藤森郁男(ふじもり・いくお)
1940年生まれ、長野県出身。慶応大経済学部卒業。85年に竹屋社長に就任。長野県味噌工連理事長、全国味噌工連会長といった業界団体の要職を歴任するなど、味噌業界の発展に貢献。
社業では、主力ブランド「特醸」「塩ひかえめ」などで、消費者から根強い支持を得ているほか、全国味噌鑑評会でたびたび農水大臣賞を受賞するなど、品質面でも定評がある。