ホーム > この人の出番 > 第12回 日本政策投資銀行 佐藤淳氏

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この人の出番

無国境時代、農業が有望 日本政策投資銀行公共ソリューション部 課長 佐藤淳氏

「グローバル化というのは資源の取り合いであり、農業の国際的に高騰が予想される」
産業構造の高度化が叫ばれ続けてきた中、今後の有望産業として1次産業に注目している日本政策投資銀行公共ソリューション部の佐藤淳課長。自らも南九州地区に赴任中、1次産業が所得を押し上げている鹿児島県を目の当たりにする。


「食の安心に関するビジネスモデルを構築した業者は生産者を含め必ずといっていいほど儲かっているのが現状だ」と力説。消費者ニーズを意識した“物作り”がカギとなっている。

 

「日本酒の製造コストの半分は米代。現在の流通の仕組みを抜本的に見直し、酒造メーカーが求める米を現行よりも安い価格で手に入れば、もっと良質の酒を作ることができる」


健全な市場メカニズムが働かない作物として米を例に挙げ、現行の農政を批判する。これに対して、鹿児島のいも焼酎を成功例として引き合いに出す。

 

さつまいもは「作目の中でもアザー(その他)ということで、あまり統制されてこなかった。メーカーの思い通りに原料を自由に流通することができた点が焼酎作りにとって幸運だったかもしれない」。


焼酎メーカーが原料のさつまいもの品質をチェック、生産者に対して原料規格を指示している。「あたかも生産者は加工メーカーの1部門になったようなもの。本来、メーカーが原材料の品質チェックするのはあたりまえだ」。農協などが流通を仕切っている米を原料にする日本酒はこうはいかない。

 

「1次産業とか、2次産業などという区分は消費者の側から見るとあまり意味のあることではない。むしろ消費者ニーズにあった食品加工品を作るためには、2・3次産業から1次産業を取り込んでいく必要がある」と従来の産業構造論を切り捨てる。


加工品メーカーが生産者を取り込むということは、品質チェックだけでなく、流通の簡素化にもつながり、さらには副次的効果としてトレーサビリティシステムが必然的に構築される、というのだ。

 

「生産者の顔が見えると、消費者から直接、生産者が評価される機会も生まれる」。評価は生産者の喜びであり、インセンティブとして働く。

「グローバル化というのは結局、各国による資源の奪い合いだ。農業は資源産業にほかならない。バイオエタノールだけでなく、農産品は国際的に高騰する流れにあり、戦略的な産業と位置付けられる」と、新たな農政の必要性を訴える。

 

「1次と、2・3陣産業との垣根をいかに低くし、観光を含め農業の活性化を図ることが地域活性化のカギとなる。それには既存の規制や統制を撤廃し、マーケットメカニズムを基本としたシステムに移行することが必要不可欠といえる」と持論を展開する。(10/18)

 

佐藤淳(さとう・じゅん)
1962年宮城県生まれ。1985年東北大卒。日本開発銀行(現・日本政策投資銀行)入行。審査部、調査部、日本経済研究所(出向)