J-オイルミルズ大阪支社長に就任してまもなく1年を迎える。オープンでフレンドリーな人柄の谷口氏は、初めての赴任となる関西にすぐに溶け込んだ。「世間的に商売は厳しいと言われるが、尊敬できる、いい取引先ばかり。大阪をすぐに好きになった」という。全国的に景気は低迷しているが、「大阪の元気はこれから出てくる。厳しい中でも発展するエリアがある。楽しみな予感がいっぱい」と明るい展望を持っている。
前期は家庭用が数量で2ケタ近い伸びと好調だった。人気シリーズ「さらさらキャノーラ油」、大豆の良さに着目した「大豆たっぷりサラダ油」が堅調なほか、昨秋発売の「軽~いおいしさ長持ち油」など新商品が寄与した。また、オリーブオイルとゴマ油が好調だった。
「オリーブオイルとゴマ油は風味を生かして、調味料感覚で使われている。揚げたり炒めたりするだけでなく、“かける”“つける”使い方に注目し、味と風味のあるおいしいものに力を入れる」と話す。
新商品の「軽~いおいしさ長持ち油」も育成する。この商品は、ヘビーユーザーに向けて開発したもので、業務用のヒット商品「長調得徳」の流れを汲んでいる。定番化を進め、店頭POPで訴求していく。
デフレの中、市場は依然として厳しい。スーパーはさらに低価格路線を追求するもの、独自路線を探るものなど多種多様だ。「ボリュームゾーンの汎用油、ヘルシーオイル、オリーブオイル、ゴマ油などの付加価値油を含め、包括的に売り場を提案し、スーパーの売り上げアップにつなげる」という。
業務用は、「長調得徳」が大きく伸び、絶好調だという。特許製法による、長く調理できるコストパフォーマンスの良さが支持され、幅広い業態で採用されている。「グループ力を発揮した、差別化された商品。新規ユーザーへの戦略商品となっている。商品について伝え、理解してもらうのが大事。大手チェーンだけでなく、理解のある卸が手売りで町の外食店にも広げてくれている」ということだ。
差別化された商品では、特許取得の「美味得徳」(フライ油・調味油)を昨秋発売した。料理をおいしくするコク味に着目した商品で、レシピ開発とともに拡販を進めている。「技術スタッフとタッグを組んで営業する」方針だ。
目下の課題は、業界共通の課題である、値上げの実現だ。年初から「下がりすぎた価格の是正」に取り組んできたが、事業環境の厳しさを受けて5月1日からさらに値上げを発表した。これを確実に実行する。
組織面では、大阪支社をさらに活性化する。いつも呼びかけているのは、「笑顔でいこう」というシンプルな言葉。「いつも笑顔でいると、いつもいい出来事が起こる。これは実体験としてある。笑って、楽しく、笑顔でいるのが一番」と話す。
そんな谷口氏が好きな組織論は、“渡り鳥(理論)”。渡り鳥はシベリアと日本をVの字隊列で行く。先頭は最も空気抵抗があり、交代しないと飛び続けることはできない。順次入れ替わることで目的地にたどり着ける。「取引先に元気がなくて、不調の人もいる。その間、その人は力を蓄え、やがて先頭と交代するまでになる。みんなで目的地を目指したい」と抱負を語った。(5/20)
谷口克彦(たにぐち・かつひこ)
1955年生まれ、東京都出身。78年明治大学経済学部卒。同年豊年製油(現J-オイルミルズ)入社。01年名古屋支店長、04年J-オイルミルズ名古屋支店長、06年東京支社家庭用販売部長、07年東京支社副支社長、08年執行役員、09年7月大阪支社長(現在)。


