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この人の出番

価格改定は10月が勝負 日清オイリオグループ 代表取締役社長 大込一男氏

現在、食品業界では穀物相場の高騰など原料価格の上昇で値上げや価格改定の発表が相次ぐが、その中でも製油業界が最も先に価格改定に取り組んできた。


日清オイリオグループの大込一男社長は、「搾油メーカーにとって、コストに占める原料代の割合は他の食品業界に比べ圧倒的に高い。売上げの半分以上が原料代になり、その上昇はダメージが大きい。その意味で、価格改定を他の業界に比べ先に取り組まなければならない」と背景を説明する。

 

ただ、5月の連休前後は、食用油が上がったからマヨネーズが上がるとの報道ばかり。「なぜ食用油が上がったかが抜けている。それだけ農産物の需給が逼迫していて、上がったとの説明が抜けていた。ようやく農水省もホームページで穀物相場上昇の影響を説明するようになり、先日も農林水産大臣が『合理的な範囲での転嫁は、必要である』と、容認する発言をしている」と、やっと価格改定へ理解が進みつつあることを歓迎する。


ただ、そうした中でも大手量販店のなかには、値上げに対して慎重な企業があるのも事実だ。「このような環境の中で、販売価格を抑制するのは、世の中の流れに逆行する行為だと思う」と指摘する。

 

ひとつは消費者をミスリード、誤認させる恐れがあること。「世界の状況を一般の消費者に正確に伝えることが大事だと思う。そのことがひいては安定供給の問題にもつながる。安定供給を続けるためには、適正な価格を維持・確保するという前提条件がある。価格抑制論では、安定供給の観点が抜けているのではないか」と問題視する。さらに価格競争により結果的に量販店同士のサバイバルレースに使われていることを挙げる。

 

そうした中で、現実的に中小食品メーカーでは、経営が立ちいかなくところも出ている。また極端に価格を抑えることは品質低下などにもつながりかねない。原料の質を落としたり、まがい物になったり、価格を過度に抑制するのは問題が多い。「適正な価格を認めることは、品質を維持し、最終的には消費者のためにもなるとおっしゃっている方もいる。一方、所得が伸びないから価格は据え置くべきという、指摘もあるが、それはあまりにも世界情勢を無視している」。

 

食用油業界は現在も大豆・菜種相場が上昇を続け、海上運賃も昨年の2倍とさらに状況は厳しさを増すが、「原料を含むコストは10月以降大幅に上がる。なおかつ来年1月以降はさらに上昇する。その中で値上げを認めないと言われたら、会社は立ち行かなくなる。最後は値段が合わなければ納入できません、という企業もでてくるのではないか」と危機感を募らせる。

 

今後の価格改定の浸透について、「特に10月が勝負だと思っている。これから一番の需要期を迎える。状況は間違いなく厳しいが、自らの問題であり上げていく。場合によっては値段が合わないところは、申し訳ないが、納入できなくなる。そういう選別をしていかなければならない」と、この10月が正念場とし、価格改定に全力を尽くす考えだ。(10/25)

 

大込一男(おおごめ・かずお)
05年10月1日、日清オイリオグループ代表取締役社長就任。秋谷淨惠前社長から、創立100周年後のかじ取りを託される。昨年度までの3ヵ年中期経営計画「AHEAD」で掲げていた目標をほぼ達成し、現在今年度からの新・経営基本構想「GROWTH10」に取り組んでいる。10月に発表したピエトロとの資本業務提携で、加工食品事業の拡大に期待がかかる。