社長に就任して10年。その間に売り上げ、味噌生産量、従業員数とも倍増させた。それでもやり残していることがあるという。9月から新CI(コーポレート・アイデンティティ)の導入に踏み切った。それを機に新たな企業ブランディングを進めていく。
「味噌メーカーとしては後発だけに、他社と同じことをやっていたのではダメ。他社・他商品との違いを明確にしなければ生き残れない」。
こうした姿勢が、PB(プライベートブランド)商品の生産、OEM受託を積極的に取り組ませた。そのために異端児扱いされたこともあったという。しかし、そうした受託事業は、「ひかり味噌の企業価値を高めること」と一歩も引かなかった。今回のCI導入でさらにステップアップを図る。
「新ロゴは“光”をデザイン化した。山吹色は理想的な信州味噌の色。伝統を意識しながら将来を見つめ、味噌を主体としつつも、味噌同様に健康訴求できる食品に手を広げたい」。
幅広い商品群、国際化にその目は向けられている。そのためには人材の育成が欠かせない。
「のれん、ブランドの外部への認知を徹底しなければ成長戦略にはつながらない。実現させるためには設備投資以上にソフトの充実が大切であり、社員が誇りを持って商談できるようにする環境作りが必要だ」。
人材育成の重要性を認識し、それを実現するための一環として今回のCI導入もある。誇りを持った人を育てるための社風改革と企業文化作りを進める。
9月1日からはCI導入に伴う新ブランド商品を発売する。「有機味噌」「有機味噌だし入り」「おいしやさしおみそ汁(3食入・10食入)」の3品4アイテム。有機JAS認定のだし入り味噌や、新たに開発した非加熱製法により味噌の本格風味を活かした即席タイプなど、特に、「有機味噌」2商品は、有機味噌では業界トップの同社ならではの商品だ。
「有機のおいしい味噌を、という消費者の声に応えるために、全工程をしっかり管理し、毎日食べるものだからこそきちんとしたものを提供したい。有機味噌は当社の主力事業のひとつだから」。
「当社の基本理念はお値打ち商品の提供。今回の新製品ももちろんお値打ち商品だ」。
林社長の言うお値打ち商品とは、その商品に対して購入者が妥当な価格と判断する価格のこと。今回の新製品も、価格以上の価値を見出してもらえるとの思いがあるのだろう。有機商品であるから一般のものより割高ではあるが、売り上げ目標(出荷額)は、有機味噌2品で5億円としている。それは社長の自信と、バイヤー評価に裏付けされている。実際、秋の棚割では、「NB(ナショナルブランド)商品の中ではかつてない規模で商談が急ピッチに進んだ」という。
前期は、工場の合理化や物流の改革などで増収増益を達成した。今9月期は、6月末時点では前年比102%だが、通期で104%での着地を予想している。(7/29)
林 善博(はやし・よしひろ)
長野県諏訪市出身。慶應義塾大学法学部卒業。セイコーエプソンを経て、1994年ひかり味噌入社、常務取締役特販営業部長。97年専務取締役経営管理本部長。この間に、社内の組織経営の推進、味噌業界で初めてとなる海外有機認証取得に自ら奔走するなど、幅広い分野の業務を担当。2000年4月より現職。


