ホーム > この人の出番 > 第16回 食品産業海外事業活動支援センター 森下光氏

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この人の出番

東アジア進出企業を支援 食品産業海外事業活動支援センター長 森下光氏

食品産業の東アジアへの投資を促進する東アジア食品産業活性化戦略。昨年12月に農林水産省が打ち出した。人口減少時代を迎えた我が国の食品産業にとって、食文化が共通する東アジアは、海外における事業展開に向けた最も大きなターゲットであり経済成長が著しいことも、魅力となる。


食品産業センター内に10月10日、開設された「食品産業海外事業活動支援センター」はこの東アジア食品産業活性化戦略を実行に移す民間食品企業に対し、情報提供や人材育成などを支援する機関である。

 

初代のセンター長となった森下氏は「基本的には現地進出企業の売上高を増加させることが目的だ。現在、進出企業の現地での売上は現地販売、日本向け輸出、第3国への輸出を含め、約1兆円になるが、この8割が現地販売といわれている。様々な支援活動により、今後5年で3~5割増加させるのが農水省の考えだ」と語る。現地進出の前段として、輸出も重要なことから加工食品の輸出に関する支援活動も行っていく。

 

実働部隊である支援センターは発足したばかり。そこでまず行うことは情報の整理・収集だ。「大手企業は自社でも調べられるが、中小企業は難しいので、彼らの欲しい投資環境に関する基礎的な情報をまず収集していく」。しかし中国、韓国、アセアン諸国に加えインドを対象にしていることから、国数が多く簡単ではない。


「農水省やジェトロが収集している工場進出や投資の条件などの情報をわかりやすく示していく。その上で、各国の嗜好、流通ルート、決済方法、リスクまで踏み込んだ情報を集めていく」。

 

もちろん支援センターとして現地に赴いての情報収集も実施する。「まず最も関心がある中国について11月11日から大連及び上海に弁護士等をメンバーとするミッション団を派遣した。弁護士が行くのは知的財産権・ブランド保護に関する最新情報を集めるためだ」。


こうして集めた情報は年内に立ち上げる支援センターのホームページで順次公開する。また農林漁業金融公庫の22支店に相談窓口を設置し、中小企業の相談にのる。「最初は輸出となるだろうが、進出の具体案があれば現地見学等のコーディネートも可能だ」という。

 

一方、すでに進出している企業に対しても支援策を用意している。一つは進出企業における情報交換や意見交換をする場の設定や専門家による現地の法制度の解説など、食品産業に特化したセミナーやシンポジウムなどを開催する。これらの取組を円滑に進めるための機関として、食品産業海外連絡協議会を上海、バンコク、シンガポールなど5ヵ所に設置する。進出企業からの相談対応なども行う。「多くの現地進出企業に利活用していただきたい」。

 

支援センターは、これらの食品産業の海外とのネットワークを構築するための機関として活動するもので、スタッフ5人と少人数ながら、経験豊富な人材が揃っており、我が国食品産業の新時代を切り開く重大な責務を負ってスタートした。(11/22)

森下光(もりした・あきら)
1950年東京生まれ。東京農工大学大学院農学研究科修了、75年農水省入省。東北農政局生産経営流通部長などを経て06年9月から食品産業センター勤務、環境・システム部長。07年2月から初代の海外室長を兼務し、10月から支援センター長も務める。趣味はスキー、登山。「思い出の山は鳥海山。山頂までが長い」という。最近読んでいる本は北方謙三の「水滸伝」。