少子高齢化時代を迎え、人口の伸びが期待できない上、若者の酒離れで消費量は減少傾向をたどり、酒類業界を取り巻く状況は厳しくなっている。さらにビールメーカーの新取引制度導入、連続式蒸留焼酎の納入価格改定、芋焼酎の値上げ、そして来年にビールの値上げを控え、酒類流通業界の周囲はかまびすしい。
そうした中、清酒や単式蒸留焼酎の取扱いに力を入れ、大手酒類卸の中でも独自の地位を築いているのが日本酒類販売(日酒販)だ。今年5月に就任した、同社営業本部酒類事業部の橋本則之部長に、業界の現状について話を聞いた。
――御社の現状はどうか。
業界全体では、清酒の消費がなかなか下げ止まらず、本格焼酎も一時の大ブームは過ぎて安定期に入っている状況だが、おかげさまで当社では、清酒は帳合の移動があったこともありプラス、本格焼酎もまだ伸びている。トータルでもプラスでまずまずなのではないかと思う。
――和酒のイメージが強いが、売上構成は。
清酒、焼酎といった和酒が3分の1、洋酒が26%、食品が12%。ビールは、発泡酒などビール類を含めても30%はいかない数字。
――リベート廃止を柱とするビールメーカーの新取引制度への対応は進んでいるか。
まだ完全とは言えないが、粛々と進めているところ。手応えは十分に感じている。
――近年の本格焼酎の需要増は日酒販がつくったといっても過言ではないと思うが、どのように取り組んだのか。
当社が本格焼酎を扱い始めた30年前は、全国的には需要が少なく、何を売っているのだと言われるような感じだった。ただ、数を売るためにむやみに値引きすることはせず、地道にこつこつとやってきたことが花開いた形。その姿勢は今後も崩さないつもり。小売店側から見ても、利益商材となっているはず。
――大ブームを過ぎた芋焼酎の現状は。
一時は芋なら何でもいいという時期があったが、メーカー間に格差が出てきた。ブランドを構築できたメーカーが強い。ただ、芋を含め本格焼酎はまだ伸ばせると思う。
――清酒の現状は。
3極に分かれている。大手メーカーと地酒はよいのだが、中間のメーカーが厳しくなっている。酒類免許自由化で酒販店が減っていることの影響もある。かつては店主のポリシーや地域性も強かったが、組織量販店やCVSのように棚が限られると、どうしても一部の銘柄だけになってしまう。我々が地域性も考えながら棚作りの提案をし、メーカーと小売のお役に立ちたいと思っている。消費者のためにもなるはず。
――卸の今後はどうか。
かつてのような、金融機能など卸の機能が減少してきたが、商品を右から左へ流すだけではやっていけない。きめ細かい商品開発力と提案力を磨いていくしかないと思っている。(12/06)
橋本則之(はしもと・のりゆき)
1955年埼玉県生まれ。中央大学卒。78年日本酒類販売入社。入社直後は本社酒類部営業事務だったが、以降、杉並、金沢、板橋、城西、中央各支店で一貫して営業畑を歩む。03年城西支店長を経て07年5月より現職。好きな酒は清酒だが、最近は本格焼酎をよく飲む。休日は2匹いる犬の散歩を楽しむ。社会人から高校生まで、3人の子の父でもある。


