ホーム > この人の出番 > 第18回 オーストラリア連邦政府投資促進庁 マイケル・クラーセンス氏

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この人の出番

機能性食品開発に日本の技術を オーストラリア連邦政府投資促進庁 農業食品部門担当シニアマネジャー マイケル・クラーセンス氏

日本で食べられている牛肉の約半分はオーストラリア産だが、日本でうどんに使われる小麦の50%以上がオーストラリア産であることは、一般にはあまり知られていないだろう。さらに、昨年は加工用米も2.1万トン輸入されている。このように、両国は食品産業を中心に深い関係にあり、年間の農水産物貿易額は約5000億円に上る。

 

「日本の食品加工技術は非常に優れており、機能性食品の分野も進んでいるので、オーストラリアにある豊富な食材を活用して、多様な機能性食品などを開発し、ビジネスにしてほしい」と、日本の技術と投資に大きな期待を寄せるのは、11月に来日したオーストラリア連邦政府・投資促進庁・農業食品部門担当シニアマネジャーのマイケル・クラーセンス氏。

 

「投資促進庁では、海外の企業を豪州に参入させること、工場誘致、ベンチャー、買収、受託、契約、技術ライセンス提携などを促進している。アジア9ヵ所(東京、北京、ソウルなど)を含む海外14ヵ所に支局を開設しており、投資のためのプログラムも用意している」と、オーストラリア政府の海外からの投資に対する姿勢を強調する。

 

「成長の可能性が高い機能性食品を調査したところ、果実が浮上した。例えば、ブルーベリーは、ここ2~3年で栽培量が増えているが、果実の生産拡大の意向は強い。また、果実は廃棄されている部分が多いが、その中に抗酸化物質も多く含まれている場合があるので、機能性食品への可能性は大きい」。

 

「オーストラリアは、気候的な面で日本とは逆という利点があり、また、多様な気候や土壌があるので、抗酸化物質の多い果実も生産できる。実際、“カカドゥプラム”というオーストラリア原産の果実は、抗酸化物質がブルーベリーの約5倍含まれている」。機能性素材の開発が盛んに行われている中、新しい素材の発見は、ビジネス上の差別化にもつながることになる。

 

「乳製品でも、ワラビーの母乳から抽出する活性成分、リステリア菌を強力に防ぎ、防腐剤にも使えるラクトフェリンなど、様々なものがある。ホエイ(乳清)については、EUに輸出している」と、乳製品由来の素材については、先進国としての自負を見せる。

 

「オーストラリアは国内人口が少なく、農業生産は多いので、世界の需給に見合った供給、つまり安定供給が可能である」。これは、食料輸入大国の日本にとって、非常に重要な指摘である。輸出を中心に農業生産を捉え、安定供給してくれる国を供給の柱にしないと、日本の食糧安全保障は危ういものになってしまう。

 

「安全性においては、島国で防疫上有利な上、厳しいトレーサビリティ制度を設けているので、対日輸出でもそれを活用できる」。


近年、オーストラリアやカナダなど資源国の国際的価値が高まっているが、広大な国土と多様な気候を持つこれらの国では、未発見の植物や動物から、機能性素材が発見される可能性もある。その中には、ビジネスを超えて、人類の未来につながるものがあるかも知れない。(12/13)

 

マイケル・クラーセンス
1961年、南アフリカ生まれ。タスマニア大学を卒業後、豪州連邦財務省、海外支援局、産業・観光・資源省に勤務。03年9月から投資促進庁。06年、オーストラリア・ナノビジネスフォーラムで、チーフエグゼクティブに選出される。