ホーム > この人の出番 > 第2回 キノエネ醤油 山下博之氏

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この人の出番

小ロット対応でニッチ市場狙う キノエネ醤油代表取締役社長 山下博之氏

2月の株主総会後の取締役会で、代表取締役社長に就任した。96年に常務に就任して以来、山下和子前社長(会長に就任)をサポートし、営業、製造、開発など会社全体を管轄していただけに「社長といっても仕事が大きく変わることはない」と力んだところはない。

しかし「自分がやりたいことに対して時間が掛かっても少しずつ進めていかなければならない」と会社の発展への熱い想いや、社長としての自覚が伝わってきた。


醤油業界の環境は厳しく淘汰の時代を迎えるとも言われる。「本業は醤油屋だが、これからは醤油関連品にもっと力を入れていく。私が常務になったころから当社の課題として少しずつやってきたが、当時とは環境がちがう。重要性は比べ物にならない。脱醤油屋というか、食品・調味料メーカーになりたい」と生き残りをかけた方向性を述べる。


その具体策の一つがPBのつゆ・たれ等の小ロット対応だ。「大手にできない、ニッチな市場を獲得することが必要。少量多品種なので1日に何種類も作らなければならないが、新しい機械を入れて就業時間内にできるようにした」。


また固形物や油分入りなど従来苦手にしてきた商品もできるようになった。油と醤油、にんにくやしょうがなどの固形分など二液充填ができる機械を導入し、ドレッシングなども手がけられるようになった。「入れたい設備のミニマムは揃った。


過剰設備をしなくても中小メーカーの生きる道があることを示したい」。すでに昨年から本格的な営業を開始しており、新規ユーザー獲得にもつながっている。さらに「今秋以降はさらに期待ができる」と小ロット対応は順調に進んでいる。そして本当の商品力のあるものができれば、小売用NBにも応用できる。


また商品開発を得意先と共同で行うことにより「人と人、企業と企業のつながりを大切にしたい」とも言う。「商品の開発段階から得意先とよく話し合い、ニーズを汲んで育てていく。主力のPB商品の多くはこうした形で開発したものだ。相手が望む商品を望むロットで提供することで得意先とのパイプを太くしていきたい」。


また、製造現場の従業員に対しても得意先との関連強化を求めている。「私たちは得意先から大切な商品製造を委託されている。もし現場がこうした意識が薄く、右から左へ作業を行っているようでは、本当の安心・安全は確保できない。


そこでお得意先にも私たちが真剣に作っているところを調達担当の方だけでなく、メニュー開発の方などいろいろな担当者をお呼びし、なるべく多く見てもらっている。そうすれば現場の従業員にも『この人に収める商品』という意識が働くことで細かい心遣いが出来るようになる。お互いがお互いを信頼しないと良い仕事は出来ない」と強調する。


一方、醤油に関しては「白醤油は当社の強み。しかしこれも白醤油をベースにした関連商品を開発しなければならない」と方向性は同じだ。


今年、創業177年を迎えたが「180年には記念の特別醸造の醤油を造る。地産地消の考えも考慮して今後のニーズにつながるようにしたい」と3年後が楽しみ。そのころには、調味料メーカーに脱皮していることが目標だ。(7/26)


山下博之(やました・ひろゆき)

1970年生まれ、92年に流通経済大学経済学部経営学科卒業後、同社入社、95年2月取締役、96年2月常務取締役。ゴルフ、スキー等アウトドア派。野田青年会議所(JC)では現在、副理事長。日本JC出向で広報渉外委員会副委員長を経験。2女1男のパパ。