清酒の輸出が順調に伸びている。輸出量は02年から06年の5年間に37%増えた。07年も前年比で1割近く伸びた。輸出量の3分の1を米国が占める。
「和酒の日酒販」といわれる酒類卸の日本酒類販売は、30年にわたって清酒・焼酎の海外輸出を行っている。輸入はともかく酒類卸が輸出ビジネスを行うのは珍しい。
「市場の伸びと比例して当社の取扱い金額も15%の増加で推移している」と小川部長。
現在、20カ国20数社のディストリビューターに、国内メーカー105社(清酒75社250品、焼酎25社50品、その他5社20品)の製品を輸出する。取扱いの大きい銘柄は麦焼酎「いいちこ」、芋焼酎「霧島」、清酒では中村酒造(石川)、白川郷(岐阜)、北関酒造(栃木)などだ。
大手メーカーでは自前で海外の販路を拓いているところもあるが、輸出業務は煩雑だ。米国であれば州によって関税や法律が違う。日酒販はこうしたノウハウを持たない中小メーカーに頼りになる存在となっている。
また「輸出インターナショナルフォーラム」を開催し、米国はじめ各国のゲストを招き、日本国内の清酒、焼酎事情についてプレゼンテーションするとともに、各国における和酒や日本食レストランの情報、酒税や関税の情報を交換している。
小川氏は06年5月に国際事業部長に就任、輸出入業務を統括している。1年半の間に輸出業務で9回、輸入で3回、海外を訪れた。ニューヨークやロサンゼルスでは日本食ブームを体感したという。
「これまでは清酒の需要といえば商社の駐在員、領事館、日本人観光客といった場合が多かったが、米国の健康ブームが後押ししている。カロリーの少ない野菜や魚を使った和食が好まれている。また日本文化への関心の高まりも背景にある。なかには720ml瓶で300ドルというような値段も見かける」。
ただし「出せば売れる」という状況は終わったとも見ている。「これからはネーミング、ラベル、瓶形など差別化しないといけない。例えば北京では2月が正月だが、それに合わせた赤い派手なラベルや、あるいは微発泡性清酒をつくるといった仕掛けが必要だ」と語る。
清酒の生産量のうち輸出量の割合は1%強に過ぎないが、国内での清酒需要が低迷しているなか、海外は魅力的な市場だ。将来は10%くらいまでになるとの見方もある。
また量は少なくても純米酒、吟醸酒といった高級品がプレミアム価格で売れ、利益率が良いばかりか、輸出は基本的に受注販売で、売り掛けも行わないので、有力な収益事業になりうるという。
「今後、当社も3割から4割は引き続き伸ばしたい」と小川部長。清酒の魅力を海外へと伝えるアンバサダー(大使)でもある。(1/24)
小川和弘(おがわ・かずひろ)
1955年福島県会津若松市生まれ、埼玉県浦和市(現さいたま市)育ち。専修大学経営学部卒。1979年日本酒類販売入社。大宮支店、本社販売促進部、中央支店課長、高岡支店長、本社酒類事業部課長を経て06年5月に現職。


