ホーム > この人の出番 > 第24回 東京都豆腐商工組合理事長 柳本恵三氏

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この人の出番

原料高騰が豆腐店を直撃 東京都豆腐商工組合理事長 柳本恵三氏

原料相場の高騰が続くが、特にシカゴ大豆相場は現在も再び$13に乗せるなど天井知らずで上げ続けている。しかも食品用に使われるNON―GM大豆の需給がひっ迫し、価格だけではなく、中長期的には量の確保ができなくなる懸念さえ出ている。

 

こうした原料相場の高騰が都内の豆腐店経営を直撃している。東京都豆腐商工組合の柳本恵三理事長は、「大豆価格だけでなく、食用油、燃料、包装資材の価格が軒並み上昇を続け、もはや合理化努力では吸収できない。しかし、量販店との競合の中で、お客さんが離れてしまうことが怖く、なかなか値上げに踏み切れない。このためこの1年間で都内だけでも83軒の豆腐店が廃業してしまった」と厳しさを訴える。

 

実際の価格をみると、同組合が共同購入している輸入大豆(米国産、カナダ産の混合)は、新穀(一部旧穀混合)に切り替わったこともあるが、2月の店頭渡価格で30kg当たり前月比320円上昇した。

 

昨年来、食品業界では各メーカーが値上げや価格改定を発表し浸透に努力しているが、街の豆腐店は、量販店との競合の最前線にあり、一層厳しい状況に置かれているのが現状だ。

 

さらに追い討ちをかけているのが、「おからの不法投棄問題」。一般紙やTVでも報道されたが、千葉県のある廃棄物処理業者が大量のおからを不法投棄したため、処理業者、おから回収業者だけでなく、おからを排出した豆腐店にも罰金が科せられた。おから処理費用が増えることが懸念され、経営への影響は小さくはない。

 

そのため「豆腐店としては、豆腐を適正に作り、適正に売って、そして適正におからを処理することが求められる。組合としても、オカラ収集組合と緊急会合を行うとともに、東京都環境局と千葉県環境局の指導に従う順法的対応に取り組んでいる。いずれにしても組合員と情報を共有し、組合員が安心して商売できるよう対応していく」としている。

 

このように豆腐店を取り巻く状況は厳しいが、前述の輸入大豆の共同購入事業をはじめ様々な活動を通じ、組合員のメリットを追及していく。食品用のNON―GM大豆は、北米でGM大豆やコーンとの競合で作付面積が減少、さらに中国が経済発展を背景にNON―GM大豆を購入するなど国家間の争奪戦も始まり、需給がひっ迫している。

 

現状では07年産新穀の浮遊玉は全くないとも言われ、端境期には玉不足も懸念される。そうした中で、「これまで継続してきた共同購入事業により、組合員に高品質な大豆を安定的に、しかもできるだけ安価に提供することで共同購入のメリットを見出していく」。

 

一方、モノ作りへの関心が高くなる中、豆腐屋へ弟子入りや仕事希望者が多くなっている。このため「組合の一階にある空き倉庫を利用し、豆腐学校を開設、オフイス街なので豆腐定食でワンコイン昼ランチを提供するなど、新感覚で業界の活性化を図りたい」と、将来への夢を持つ。昨年5月に理事長に就任、文字通り“難問山積”だが、夢の実現に向け動き始めている。(2/14)

 

柳本恵三(やなぎもと・けいぞう)

1952年に先代が豆腐製造を創業、その後、「親の背中を見て」家業に従事。社会体育団体として青少年の剣道の会をボランティアで指導し会長を務めた。趣味としてクレー射撃を40年以上続け地元の城東鉄砲安全協会の会長を務めている。豆腐業界では江東支部長として89年より組合本部理事を務め、98年に副理事長(常勤役員)、07年5月の理事会で前理事長の勇退を受け理事長に就任した。1937年生まれ70歳、東京都出身。