輸入小麦の政府売渡価格の08年4月期(4~9月)は主要5銘柄全てが30%引き上げられた。
農林水産省総合食料局の町田勝弘局長はこれに関連し、小麦粉・小麦粉二次加工製品の価格転嫁について、「合理化努力の範囲を超えた分は転嫁し、消費者に負担頂くことが必要だ」と指摘する。
小麦相場の高騰の背景には、穀物需給の構造的大変化がある。インド・中国等での爆発的な穀物需要増加、バイオエタノール等の非食用需要の台頭、温暖化などの影響による供給面での問題などから、06年秋から穀物相場が上昇してきた。
町田局長は「これまで、日本は海外から穀物を買えばよいという議論もあったが、今や小麦のほか大豆・とうもろこし等も歴史的高値を付け、日本が買い負けるのではないかと言われる状況にある。これが麦制度見直しと重なってしまい、製粉・小麦粉二次加工業界に大変な思いをさせているとの認識は持っている」とも語る。
その上で「世界では穀物の争奪戦が起きている。その中で、今回の売渡価格引き上げの背景も含め、きちんと説明していくことが大事だ。特に、今回の売渡価格引き上げ分を、製粉・小麦粉二次加工の中間段階で全て吸収するのは無理がある。行政の立場では定性的にしか申し上げられないが、合理化努力の範囲を超えた分は転嫁し、消費者に負担して頂くことが必要だと考えている」と強調する。
新たな麦制度でのルールは、改定期から遡る3か月前から8か月間の買付加重平均価格をベースに一定の算定式で決める。
「今後、買付価格がどうなるかは読めないものの、現在のルールでは買付価格(相場等)が上がれば、売渡価格も引き上げ、下がれば下げるというもの。行政としては、説明責任を持ちながらルール通り実行していくのが役割。現在は量販店等も含め、流通各段階を訪問して説明するほか、相談窓口も設けている。丁寧な説明対応をすることが重要だ」。
「ただ、価格交渉は民間の当事者間で行われるものであり、何が適切な価格かは民間の話し合いで決まる。輸入小麦は他の原料と異なり、国が買い付けて供給するものだが、市場価格形成のメカニズムはあくまで民間にある」とも語る。
今後は量の安定供給も大きな課題になる。
町田局長は「現在の国による一元輸入のメリットを最大限に生かして、安定的に量を確保していくことが大事だ。国家貿易のメリットを生かすべく、主要輸入先である米国・カナダ・豪州との良好な関係をさらに強化していく。すでに、次回の新穀期までの量確保には目処が立っている。同時に輸入ソースの多様化も課題だ」と指摘する。(4/10)
町田勝弘(まちだ かつひろ)
1953年生まれ、東京都出身。76年東京大学法学部卒、農林省入省。91年農蚕園芸局企画課主席企画官、94年香川県農林水産部長、97年畜産局食肉鶏卵課長、99年畜産経営課長、2000年畜政課長、01年生産局総務課長、02年大臣官房審議官兼生産局、04年生産局畜産部長、04年消費・安全局長、08年1月総合食料局長。趣味は奥さんと二人で回るお寺巡り。「四国霊場は全て回った」という。


