ホーム > この人の出番 > 第33回 キッコーマン 代表取締役社長 染谷光男氏

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この人の出番

商品力で国内の収益改善へ キッコーマン 代表取締役社長 染谷光男氏

牛久崇前社長が健康上の理由から社長を退くことになり、4月1日から社長に就任した。2月の発表会見では「会長から突然の指名で驚きと緊張の中にいる」と述べていたが、就任してもやはり緊張感が解けることはないようだ。

 

長く海外事業に携わり、同社の海外事業成長を支えてきたが、茂木友三郎会長との役割分担もあって「国内のキッコーマン単体部門を受け持つのが私の職務」となる。最近の少子高齢化は和食関連の業種にとって必ずしもプラスではないが「特に国内の醤油、醤油関連調味料などの売上を拡大したい。その一方で収益を改善することも必要だ」と述べる。様々なコストアップ要因の中で緊張のスタートを切った。

 

最大の課題である国内事業の収益性を上げるための方策は、「基本的には付加価値の高い商品を提供することで、消費者、流通関係者の支持を得たい」と考える。


その一つが「ご飯食をテーマに、忙しいお母さんの料理のお手伝いができる商品、少し手を加えれば楽しく食事ができ、お弁当にも使えるような商品を開発していく。例えば2月に発売した『うちのごはん 混ぜごはんの素』シリーズは、ご飯に混ぜるだけで炊き込みご飯のようになるアイディア商品で、流通からの評判がいい」。

 

また「醤油、たれ・つゆなどは簡便性に加え機能性も重視する。当社は大豆、野菜、果実など原料に使っている得意分野があり、これに伝統の発酵技術を活用することで、機能性とおいしさを併せ持つ商品を提供する。これにより他社との違いをアピールできる」と述べる。

 

新社長就任に合わせるように先般、新コーポレート・マークと統一スローガン、さらに将来ビジョン「グローバルビジョン2020」を発表した。「これまでのロゴマークは国内をカバーするという性格が強かった。そこで当社の考え方である新スローガン『おいしい記憶をつくりたい。』を英語で『seasoning your life』と表記し、海外事業でもこの考えを広めていく。これを作るに当たっては海外の社員にも意見を聞いた」という。キッコーマンのローマ字の下に新スローガンを入れる。お馴染みの六角形のロゴも併用する。「両方使うことで革新と伝統を表したい」考えだ。

 

また「グローバルビジョン」では2020年に醤油の販売量を現在の2倍の約100キロリットルにする目標を掲げた。「シンガポールとオランダに開発拠点を作った。アメリカにも開発部門がある。それぞれの地域に食文化、嗜好に合わせて商品開発を行っていく」のが基本と語る。「初めてアメリカに赴任した時、肉はステーキ用しか買わなかった。骨付きなど他の部位の料理法が分からなかったからで、徐々に地元の人に聞いてシチュー等に使うようになった。食文化は地域独特のものであり、商品開発もそれに合わせることが大事だ」と経験から得た知識をグローバルな商品開発に生かす。(4/17)

 

染谷光男(そめや・みつお)
1941年生まれ、千葉県出身。64年慶應義塾大学経済学部卒業。同年野田醤油(現キッコーマン)入社。93年海外事業部長、96年取締役、01年取締役常務執行役員、05年取締役専務執行役員、06年代表取締役専務執行役員。スポーツは大学時代にスキー、入社してからは野球も楽しむ。最近は寺社廻りにいそしむ。「仏像等に手を合わせると気持ちが落ち着く。今後も続けたい」。読書は推理小説が好き。