穀物の高騰などが世界中の経済と食卓を直撃している折、先日のニュース番組では、食品の廃棄を少なくする試みが紹介されていた。例えば、魚を骨ごとすべて液状化したり、リンゴを芯まで使えるようにするような技術の開発である。
また、賞味期限・消費期限についても、もっと緩和し、廃棄する分を少なくすべきではという声も聞かれる。まして、日本はカロリーベースで自給率4割の国。海外で日本向けに生産され、はるばる輸送されてきた食品を廃棄するというのは正しく「もったいない」行為である。国産品も同様だろう。
さらに、農産物などを、生産に要した水の量で換算する「バーチャル・ウォーター」という考え方から見ても、日本は世界有数の輸入国となっている。
乳製品については、世界的な価格高騰の状況は穀物などと同様だが、もともと、乳製品は穀物や食肉に比べて、貿易量が少ない産品。その上、豪州の2年連続の干ばつ、アルゼンチンの輸出抑制措置などがあり、供給は厳しくなっている。
一方、需要は中国・ロシア・東南アジアなどの伸びから世界全体で2.5~3.0%増加しており、供給の1.5~2.0%増を上回っている状況である。
その中で、「米国は順調に生産量を伸ばし、輸出量も増加させている。07年の乳製品の輸出は前年比24%増加し、総産乳量のうちの9.5%を占めるに至った。02年の輸出比率が5%だったことを考えると、米国の酪農業界がいかに輸出に目を向け始めてきたかが分かる」と、アメリカ乳製品輸出協会のアカウントマネジャー、北澤幹一郎氏。
「特にチーズは記録的な伸びを示しており、07年は4.0%増の9万9431トン。米国にとって2大輸出先であるメキシコ向けが38%、日本向けが30%も伸びた。欧州向けについても、前年比3倍近い6000トン強を輸出することとなった。世界の乳製品マーケットで、米国の果たす役割は急速に大きくなっている」。
「米国の乳製品の輸出はホエイ(乳清)、乳糖、脱脂粉乳など乾燥乳原料の比重が高く、およそ3分の2を占めている。ホエイの輸出量は前年比21%増加し、41万8292トンとなっており、より付加価値の高い濃縮ホエイプロテイン(WPC)や分離ホエイプロテイン(WPI)の輸出量が顕著に伸びている」。
この濃縮ホエイプロテインについては、食肉加工品や水産練り製品分野で様々な試作が行われており、その過程で多様な機能特性が明らかになってきた。
それは、保水性・保脂性の高さ、ゲル化・乳化安定性など、食品蛋白としての優れた機能特性。原料の価格高騰、供給不足に悩む加工食品の製造現場で今後大きく役立つと期待される。
同協会では、5月22日に東京ビッグサイトで、この濃縮ホエイプロテインについてのセミナーを開き、その機能特性を紹介する。
冒頭の話に戻るが、穀物や食料のタイトな需給の緩和が難しい中、自然からの恵みは余す所なく使う、つまり極力「食品」にしていく技術と知恵が、人類の生存にとってますます重要となっている。(5/22)
北澤幹一朗(きたざわ・もといちろう)
1956年、長野県生まれ。86年に米国ネブラスカ州立大学で農業経済学修士号を取得。帰国後、米国食肉輸出連合会、タイソンフーズなど米国の業界団体、企業を経て、05年からアメリカ乳製品輸出協会アカウントマネジャー。乳原料を担当している。


