味の素の品質保証部部長の木村毅氏は、4月16日の定時総会で健康と食品懇話会(健食懇)の会長(2期目)に選出された。健食懇は1985年に32社で設立し、会員は大手食品メーカーが中心で現在40社。「大手食品メーカーが多く、一般消費者との接点を持っていることから、消費者に安全性や品質に関する情報を的確に提供していくのが使命と考えている」と健食懇の意義を語る。
その一方で「これまで大手食品メーカーにこだわってきたが、もう少しオープンにして多くのメーカーに加わってもらいたい」と語る。健康食品関連の団体は他に幾つかあるが、特に大きいのは1,000社以上のメンバーを有する「日本健康・栄養食品協会」(日健栄協)だ。同協会を中心に、他の協会と協力して健康食品に関する制度の改革や情報提供に貢献したい考えだ。
今年は健食懇にとって特別な年になりそうだ。一つは消費者に安全性を保証する業界のガイドラインがスタートする運びとなったことだ。健食懇は一昨年から健康食品のリスク担保となる「『いわゆる健康食品』の原材料の安全性に関する自主点検基準」を作成してきたが、厚生労働省の意向もあり、日健栄協の業界統一ガイドライン作成に全面的に協力、統一案がほぼまとまった。
木村会長は「今後、厚労省の検討会で正式に決まるが、食経験など細かい判断基準をどうするのか、具体的な判断は難しいが、我々は自主点検基準の作成で2年間に渡り経験を積んでいるので、その知識を提供するなどの協力ができる。また大手には比較的容易にできるが、中小には難しいことがある。例えば食経験などで必要になる文献検索があるが、英文論文を簡単に用意できるのか。業界として考えていかなければならない問題だ」と述べる。
また「最終的に各社の自主判断に任せていいのか、第三者が加わるのかなども難しい問題だ」という。それでも「業界統一のガイドラインは課題を乗り越えてできるだけ早くには動き出せるように協力していきたい。早ければ年度内に認定マーク入りの商品が出ることもありうる」と期待は大きい。
安全性の担保の次は効果・効能等の有用性の表示となる。「薬事法との絡みもあって難しい。厚労省にはそのあたりをお願いしているが、もう少し大きな目で考えて行きたい」という。 そこで今年から動き出すのが20年、30年先の健康食品を考えた長期ビジョンの策定だ。「月1回の理事会で検討し、今年中には原案を作成、来年度には固めたい」。
「有用性の表示・情報提供をどうするかも、当然含まれるが、それだけではなく日本は基礎の栄養研究が欧米に比べて脆弱なことから健康と栄養に関する研究体制の確立などを求めたい。例えばサプリメントなど健康食品を医療現場で医療費削減にどう役立てるのか。健康食品問題研究会という超党派議員会議ができ、消費者庁も開設される。これらとも絡めて健康食品に関する全体像を考えていきたい」と健食懇会長として将来を見据える。(6/5)
木村毅(きむら・たけし)
1956年生まれ。父親の勤務の関係で中学からイギリスに暮らす。そのままロンドン大学入学、博士課程修了。米国国立衛生研究所にて研究後、89年味の素入社。05年から同社品質保証部長。健食懇会長(07年4月から)のほか、国際グルタミン酸技術委員会執行委員長なども務める。趣味はカラオケ。5年間のワシントン事務所長など「海外生活のほうが長い」ためか歌うのはロックが中心。


