三菱商事と明治屋が出資し、2005年4月に発足した明治屋商事は、明治屋の卸部門を引き継ぎ、中期経営3カ年計画の下、経営再建に向けてスタートを切った。2年目の2007年3月期は、「1年前に3カ年計画の2年目について、売上4000億円、経常損失15億円という修正目標を掲げ努力してきたが、売上3735億円、経常損失28億円の結果となった」(決算発表会で磯野謙次会長)と厳しい状況が続く。
6月28日の株主総会で代表取締役社長に就任した今村忠如氏(前マルイチ産商社長)は、いわば再建の切り札としての登場だ。
「現在の2007年度までの中期経営計画は業績面では赤字なので、見直す段階にきていると認識している。今、現状把握を行っているところだ。どんな状態であっても、黒字の会社でも赤字の会社でも、私自身“同じ茨の道を歩むなら、明るく、楽しく、朗らかに”がモットー。これで今までやってきたし、今後もやっていきたい」というが今村新社長の抱負の第一声。
「赤字会社は異常、早期の黒字化に全力を尽くしたい」が緊急の目標となるが、「赤字会社は、足もと、業績の中身に注力しやすい。しかし明治屋商事がそもそも何であったのか、そこのところを絶えず振り返り、意識しながらやっていかないといけない。明治屋商事設立とは何か。明治屋はフロンティアスピリット、三菱商事は中間流通のフルラインの構築力が、それぞれの最大の良さだ。力強いものを持つ両株主が作った会社を一言でいうと、『新たな中間流通機能の創出』である。これを作るのは大変難しい。新たな機能は、これを苦しみながら作れというのが私に課せられた使命だと思っている」と、同社設立は単に企業の再建にとどまらず、「新たな中間流通機能の創出」と大きな目標があると言う。
今村社長は、社長就任が内定した後の3カ月間、多くの顧客、メーカー、関係者から色々話を聞いたと言う。
「その中で明治屋商事の顔が見えないということを耳にした。私自身、現地現物現場の3現主義であり、現場を見、社内を見る。当社の物流の力、メーカー政策に乗っとった商品販売、小売支援能力、社内の統率力、改善のスピードなどについて、顧客基軸で評価すると、かなりバツが多い。これでは顔が見えない。まずは恒久対策である商人力をつけるため教育を徹底してやりたい。成長戦略は人への投資にある。経営課題は人、組織の関係を整理し、内部統率力など組織力をつけ、全社一丸にすること、実行のスピードをあげること。わかりやすい会社を目指す。顧客から評価を受ける会社にしたい」。
一方、「マルをつけるとすれば、社員の真面目さ」と言う。更に「危機感をどれだけ持つか、これを持てたらかなり力強い。個人の力がないと、今の時代は組織だけの力では難しいと思う」。この真面目さをどう活用できるかも今村社長の手腕にかかる。(8/9)
今村忠如(いまむら ただのり)
1975年三菱商事入社。1997年東洋冷蔵に出向、営業第6部長。2000年三菱商事水産部長、2001年同社食品本部鮪ユニットマネジャー。2003年マルイチ産商に出向、代表取締役副社長。2005年同社代表取締役社長。2007年4月明治屋商事顧問、6月代表取締役社長。


