製油業界をはじめ食品業界は、川上インフレ・川下デフレ、少子高齢化による需要減少、不祥事による信頼失墜と文字通り問題が山積している。特に製油業界には原料高騰が重くのしかかっている。こうした中で、日清オイリオグループの大込一男社長が日本植物油協会の新会長に就任した。
前任の佐々木晨二会長(J―オイルミルズ社長)の2年間も「激動の時」と表現されるが、環境変化は一層大きく、しかもスピードを増しており、「時期が時期だけに会長職を引き受けるに当たっては大変な緊張感を持っている」と厳しさをにじませる。
しかし「これを一気に解決することは無理であり、個々の事柄に一喜一憂するのではなく、製油業界の原点は何か、との視点に立って自らの基盤を確立することが重要」との基本姿勢を示し、その上で冷静に直面する課題と方針を述べた。その中では、食料資源を燃料にすることに対し協会としても反対の声をあげること、また安定供給の面から大豆の備蓄だけではなく、緊急性の面から油での備蓄も必要との考えを示した。
食品業界の最大の課題となっている信頼性回復については、「食品企業の原点とも言うべき安全で安心できる確かな品質の商品を、公正な競争を通じて顧客や消費者の皆さんに安定供給の責務を果たしていくことが最も重要である。同時に、食品業界に対する信頼を取戻す努力をしたい。信頼性回復は食品産業の一角を担う油脂業界としても重要な問題であり、コンプライアンスは各企業が個別に取り組むが、協会内部にワーキンググループを設置し検討を進めていく」。
さらに緊急性の高い課題として「適正な油価の実現」を挙げ、「だいぶ市場の理解も進んできたが、依然、道半ば。安定供給の問題と裏腹になっており適正価格の構築に急ぎたい」と取組みを強調する。
消費面では、「生活習慣病への取組みが世の中の流れになってきており、ともすれば食用油は敬遠されがちだが、油のよさをキャンペーンしていく」。
環境問題も大きな課題だが、製油業界はCO2排出規制について、1990年に比べ2010年で85%まで削減する目標を06年に達成した。しかし「洞爺湖サミット後にいろいろな話題が出ると思うが、どんな目標を掲げるか会員で議論したい」としている。一方、とうもろこし、大豆、大豆油は本来、食料だが、「原料高騰の一因でもある食料資源を燃料にすることに対し、人口が増え食料が不足し価格が高騰する中で世界的に疑問の声が上がっている。協会としても、これにコメントしてもいいのではないか」と食品業界として食料資源の燃料化に警鐘をならすとの考えを示した。
食料問題では、「日本の自給率が低い中で、何か備えが必要ではないか。大豆の備蓄があるが、油での備蓄が場合によっては必要ではないかと考えている。行政と意見を交換していきたい。まだ私個人の考えだが、緊急性の面では原油で持つ方法もあるのではないか」と述べ、油での備蓄を検討すべきとの考えを明らかにした。(6/19)
大込一男(おおごめ・かずお)
日本植物油協会会長に5月14日の通常総会で選任された。05年10月1日、日清オイリオグループ代表取締役社長就任。秋谷淨惠前社長から、創立100周年後のかじ取りを託される。現在、昨年度からスタートした「GROWTH10フェーズI」の達成を目指す。


