ホーム > この人の出番 > 第44回 農林漁業金融公庫 総裁 高木勇樹氏

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この人の出番

統合への改革競争、アドバンテージは我にあり 農林漁業金融公庫 総裁 高木勇樹氏

今年10月1日、農林漁業金融公庫、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫の「3公庫」に国際協力銀行の国際金融等業務を加えて統合、「株式会社 日本政策金融公庫」が誕生する。いわゆる政策金融改革だ。

 

5年前の就任以来、今日あるをめざして作業の陣頭指揮をとってきたのが、農林公庫の高木総裁だ。その農林公庫、統合に向けた作業は3公庫のうち「物理的に」最も忙しいそうだ。

 

「支店など拠点の数が、国金152か所、中小公庫59か所あるのに対し、農林公庫は22か所しかなかった支店を、最終的には全都道府県をカバーする48か所まで拡大しなければならない」。これで拠点数は合わせて250を超える。統合後は、現在の国金と同じ152か所まで圧縮するが、旧農林公庫の職員が配置される拠点は48か所どまり。「しかし残り104か所にお客さんが来ることは当然ある。初動はいいとしても、以降は旧農林公庫職員が対応せざるをえない」。

 

そのため2つの方針で臨む。第一にITの徹底利用だ。「テレビ電話を通じた本店コールセンターでの直接対応を考えており、すでに練習も始めている。各拠点にはフリーダイヤルも備えた。web活用も含まれる。第二にウィング戦略。外部の協力を仰ぐことを指す。「すでに農林公庫は外部に農業経営アドバイザーを抱えているし、200近い民間金融機関と業務協力協定を締結している」。要は「人は増やせず、むしろ減らさなければならないが、拠点の数は増やさなければならない。当然、仕事のやり方を抜本的に変えていかなければならない」。

 

しかし実は高木総裁、こうした物理的作業は確かに大変でも「政策金融改革という大元からすれば、農林公庫が最も進んでいると自負している」そうだ。

 

何故なら、これまで「人事給与制度や評価制度はかなり変えてきた」から。「統合後も各旧公庫の専門性・独自性は維持せざるをえないため、そこは人材育成ということでしっかり取り組んでいくが、間接業務は統一してコストを削減していく必要がある。女性の登用という意味でも先進的で、今年4月の新規採用者の4割は女性。本店には女性の管理職も数人いる」。

 

ここまでの取組みにあたって、基本方針は情報の徹底開示。「情報隠しは、結果的に不信感を招きかねないやり方」が持論だ。「web営業はじめ先般リニューアルしたホームページも(他公庫に比べ)充実している。内部的に役員会の模様も、概略と決定事項は開示している。そのほうが職員にも理解してもらいやすい」。

 

統合までは「互いの改革競争になる」。これまでの蓄積によって農林公庫には、ある種のアドバンテージがあるのではないか、と水を向けると、「うちはアドバンテージがあるというより、ユニークだと言われており、私自身も自信を持っているところだ」との答が返ってきた。したがって統合までの間、「農林公庫は他公庫の改革を引っ張る役割を担っている」。(7/10)

 

高木勇樹(たかぎ・ゆうき)
1943年、群馬県生まれ。東大法学部卒、1966年農林省入省。畜産局長、大臣官房長、食糧庁長官などを経て1998年農林水産事務次官。歴代次官の間で「最も仕事ができた次官」との評が定着しているとか。退官後、2003年から現職。様々な場面で農政提言を展開。カラオケでマイクを離さないとの評もあるが、本人曰く「誰も歌わないから仕方なく歌ってる」。