先ごろ全日本スパイス協会の理事長に就任した日本スタンゲの浅見徹社長。スパイスは業界としてあまり大きくない上に、ほとんどが輸入に頼っているという特殊事情で、消費者の安全・安心意識の高まり、各種規制の強化など、スパイスを取り巻く環境は厳しい。原材料価格の高騰では他の食品業種同様苦しい立場におかれている。コスト上昇分を製品価格に転嫁できればいいが、値上げは遅々として進まない。
しかし浅見理事長は、「日本の食生活を考えていく場合、スパイス・香辛料は重要な役割を果たしている」と、業界としての重要性を語る。
浅見理事長は協会の使命は、「食生活になくてはならないスパイスの安心・安定供給だ。そのため各企業ベースではできないことをとりまとめ、手伝うことが重要だと考えている」と語る。その一つに、活発な情報活動がある。行政や海外諸団体との情報交換を双方向で行い、それを会員にフィードバックしていく。行政サイドには業界の特徴、現状をしっかり伝え、業界に対する理解促進の手伝いをしっかり行うことも重要だという。
また、行政はさまざまな情報を団体経由で流すことが多くなっているが、食品産業全体の信頼性回復、制度の変更など、国が考えていることを会員各社に伝達していくことも大切だ。「協会会員以外にも、スパイスを扱っている会社は多くあるが、そうした会社が何か問題を起こした場合でも、業界全体に影響が出てくるため、広く情報を公開していきたいし、また、会員も増やしていきたい」とも語る。
海外諸団体からは、日本のスパイス事情を知りたいとの要求が増えているという。「そうしたことにしっかり対応し、誤解を招かないようにすることも大事な仕事」だともいう。「日本の購買力は一時よりかなり弱まっていると思う。供給者が限られ、需要者が増えてくる中、供給側としては、あまりにも細かな要求を出してくる需要国よりも、あまり無理を言わない需要国へシフトしていく可能性はある。そうなると安定供給に影響してくる。そうした事態を避けるためにも、世界で何が起こっているのか情報発信を続けたい」とも話す。
近年、業界で問題になっている「放射線殺菌」については、「照射による殺菌が認められれば、殺菌の選択肢が増えるので、協会としては歓迎する。海外では多くの国で認められているのに対し、日本では禁止されているため、各社とも照射されたスパイスが入らぬように、多大な努力を行っている。それでも、長い輸入過程の中で、誤って入ってしまうリスクが皆無とは言い切れないため、照射が認められれば、そうしたものを廃棄しないですむというメリットもある。ただし、一番大事なことは、本件に関する科学的知見を集め、消費者にその安全性を納得してもらうことで、それなくして解禁となっても、実際には使用できないと考えている」との見解を示した。
浅見理事長は「業界団体として発言力を高めることができないか模索している。現在、似たような他団体との統合を視野に入れて、前向きに検討している。スパイスの活用方法、健康面での効用、諸問題の解決などを消費者やユーザーに伝え利用促進に結びつけるため、ホームページの改善も行っていきたい」と、今後の抱負を語った。(7/24)
浅見徹(あさみ・とおる)
1951年生まれ。75年早稲田大学政治経済学部卒業。同年住友商事入社、2000年穀物部長。06年5月日本スタンゲ顧問就任、同年10月同社社長就任。趣味はゴルフ。ウォーキング、ジム通いで体力づくりも。毎日スパイスを摂ることが健康の秘訣とも。


