不二製油の新社長に海老原善隆氏が就任し、4月から新体制がスタートした。海老原氏は入社以来、油脂、開発、海外畑を歩み、手腕を発揮してきた。「幸い当社は先輩が残してくれた油脂や大豆たん白に関する世界に通用する技術や世界各地に事業拠点がある。国内市場は飽和、少子高齢化で踊り場にあるが、世界にはBRICs、VISTAといった成長著しい国々があり、世界市場はまだ伸びる。当社は長年世界で戦ってきたしこれからもやれると考えている」と自信をみせる。
同社は油脂、製菓製パン素材、大豆たん白部門を展開し、次なる成長に向け、それぞれ重点施策に取り組んでいる。油脂部門では、昨年念願の関東における拠点となる千葉工場が稼動した。「東西2拠点体制により、関東の市場、ユーザーにスピーディーに対応でき、万が一阪南事業所で地震等があっても安定供給できる。また、タンクターミナルを併設したことで、パーム油を直接陸揚げでき、フレートのコストダウンが可能となった」。
パーム油については、「当社が知識、経験、技術の第一人者だと自負している。千葉工場建設はパーム油事業強化の一環である。パーム油には素材の味を引き立てる、軽く仕上がるという特徴がある。液状のパーム分別油脂をドレッシングに使うと、通常の液油より素材本来の味が引き出され、フレッシュ感がでる。一流シェフの協力を得ながら、外食専門雑誌でアピールし、パームの認知度を高める取り組みをしている」。
海外チョコレート用油脂も伸長分野であり、期待がかかる。「コーデックスの『チョコレート5%ルール』で急伸する中、BRICsの需要増が著しく、世界的に活況を呈している。この3、4年で世界のチョコレート用油脂市場は現在の2倍以上の20万トン超になると予想される。不二は世界に拠点があり、製造コスト、安全・安心においても強みを発揮できる。不二は世界シェアの3分の1のシェアがあり、この世界では絶対に負けない」。
製菓製パン素材では、業務用チョコレートの伸長が目覚しく、楽しみな分野だ。「チョコレートには油脂が約30%含まれ、油脂の特性でチョコレートの物性が決まる。油脂の機能をわかっているかが大事であり、『油脂を制するものはチョコレートを制す』と社内で言っている。油脂メーカーでチョコレートを造っているのは当社だけ。油脂を理解することにより、物性の優れたチョコレートができる。10年、20年先には業務用チョコレートで世界1位になる夢を持っている」。
国内外で随一の研究を誇る大豆分野に関しては、「大豆たん白部門は、組織の再編成を行い原料、生産、販売、物流の最適化を行ったほか、消費者向けの豆乳関連商品・健康食品通販を扱う販社としてソヤファーム(株)を設立した。これにより、マーケティングと販売を強化する。ソヤファームブランドの確立で大豆たん白事業全般へのシナジー効果が期待できる」。
仕事で大事にしているのは夢と志を高く持つこと。夢が現実になる日も近い。(8/13)
海老原善隆(えびはら よしたか)
1946年兵庫県生まれ。69年大阪大学工学部卒、71年大阪大学大学院修了。77年不二製油入社、89年同社食品研究所油脂開発部長。92年Vamo-Fuji,N.V.(現Fuji Oil Europe)副社長。98年不二製油油脂事業部長、2000年取締役、02年常務取締役。04年油脂事業部分掌、05年兼欧州・米国事業統括本部長、07年4月代表取締役社長。


