ホーム > この人の出番 > 第54回 ヤッホー・ブルーイング 代表取締役社長 井手直行氏

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この人の出番

コンセプトは「知的な変わりもの」 ヤッホー・ブルーイング 代表取締役社長 井手直行氏

スーパーやコンビニの店頭で、金色とブラックのコントラストが目を引き、ビールファンが一度飲めば、そのコクと香りを忘れられないのがヤッホー・ブルーイングの「よなよなエール」だ。

 

1996年発売とすでに発売から12年経っているが、そのラベルデザインと味わいは基本的に変わらず、ここにきて準ナショナルブランドとして定着してきた。

 

バブル崩壊とデフレ、地ビールブーム終えんを経てなお、大手ビールよりも価格が高いにも関わらず、存在感を維持している商品は極めて珍しい。昨年の同社売上高は前年比3割増で「よなよなエール」だけ見れば8割近く増えた。

 

2009年2月期は年商9億円をのぞむ。4期連続増収増益で、おまけに営業利益は4500万円、営業利益率は現在7%、3年以内に10%を見込んでいるという。「日本で4番目に利益をだしているビールメーカー」(井手社長)だ。

 

この極めて稀な例は、「楽天のネット市場での成功を抜きには語れない」と言う。現在、楽天だけで月商3500万円を売り上げ、メールマガジンの登録者数は5万人を超えた。酒類や食品といったカテゴリーを超えて、日本でネットで販売されている断トツ商品となった。

 

「94年の地ビール解禁で多くの会社が誕生したが、その後低迷した。当社もそれに違わず、売上げが落ち込んでいた」「2004年頃、(楽天の)三木谷浩史社長からの直筆の手紙を改めて読み直し、ネットショップに賭けると決断した。全社員に、背水の陣でこの業務に挑む! と宣言し、ブログやメルマガでお客様とのコミュニケーションを開始した」。これが怒涛の勢いで人気を博すこととなる。

 

「例えば毎日スーパーに寄ってよなよなエールのラベルの向きを正面に向ける方がいた。私はこの方を、よなよな愛の伝道師横浜支部支部長、と任命した。すると、私も支部長に任命してください!という反応が続々とあり、今では全国の支部長が日々営業支援を行ってくれています」と笑う。

 

「よなよなエール」はいわゆる「地ビール」ではない。一般的な地ビールは350mlで400円前後だが参考小売価格260円で勝負しているのが大きな特徴だ。販売先も地元ではなく、大都市圏を狙っている。ビアパブやバー向け限定の「リアルエール」もビールマニアに高い評価を得ていることに示されるようにあくまで本格感を重視している。

 

しかし、この成功事例の最大の要素は、井手社長のユニークなキャラクターだろう。氏の独特の視点と軽妙な語り口がネットである種の共鳴を生んでいる。同社とブランドのコンセプトは「知的な変わりもの」。「変わりもの」の社長がこれからどんな夢を描くのか楽しみだ。(9/25)

 

井手直行(いで・なおゆき)
1967年生まれ。福岡県久留米市出身。国立久留米工業高等専門学校電気工学科卒。ティアックでエンジニアとして5年間勤務。退職後数カ月間日本中をバイクで放浪。軽井沢での生活を決意し、広告代理店に転職。星野リゾートの社長と知り合い、1997年ヤッホーブルーイングの設立と同時に営業担当として創業メンバーに誘われる。2008年6月代表取締役社長。趣味は釣り、スノーボード、ギター演奏、自然の中での戯れ。特技はお酒が大好きで強い、空手チョップ。座右の銘は「なんとかなるさ!」