昭和産業グループでコンビニエンスストア向けのベーカリー事業を展開するスウィングベーカリー社長から、冷凍食品部門を担う昭和冷凍食品の社長にこの3月就任した。就任あいさつでは、「基盤は作ってもらった。あとはそれをいかに伸ばしていくかだ。商品の新規性、差別化、新販路の開拓、工場の生産性向上、品質保証の充実による安全・安心を追及することで、なるべく早い段階で結果を出したい」と当面は従来路線の継続を強調する。
昭和冷凍食品の事業は冷凍加工食品が3分の2、残りを冷凍生地が占める。売上高は約25億円前後だが、2008年上期(1~6月)は両事業とも順調で売上高は17%増と伸長、通期でも28億円という過去最高の水準が目前に迫っている。中国・天洋食品事件の影響で、冷食業界が苦しむなか、国産原料へのこだわりや国内製造の強みが業績を押し上げた。しかし、この追い風が下期も続くとは考えていない。「今、操業がいい時に次の商品を作っていくことが大事だ」と先を見据える。
同氏は入社以来、営業畑を歩んできた。冷食との関わりは、1991年に昭和産業製粉部の営業を担当してから。ここで冷凍生地の販売に関わった。営業で培ったノウハウを生かし、「佐藤前社長は工場に長けていたが、私は営業出身なので営業を強化したい」と語る。
そのためには新たな切り口の商品開発が不可欠だ。上期はプチケーキシリーズなど新規性のある商品がヒットしたが、さらなる売上げの拡大に向け、「商品のバラエティー化を進めたい」。特に苦戦カテゴリーであるラビオリ・ワンタンでは「どう調理するか」など提案の幅をいかに広げるかが課題となっている。
一方、こういった課題の解決に向け、社員や従業員をどのように導いていくのか、それが社長の仕事だ。「現場の発想が一番大事。現場のやる気が出るように仕向けていくことが私の仕事」。「(社員には)あまり細かく言わず、自由な発想で仕事をしてもらう」。この言葉に同氏の信念が込められている。「自分で動かないと身にならない。全体の方向性のなかでの自分の考えを出してもらいたい」と願う。
同氏は高校からラグビーを始め、大学、社会人と、没頭してきた。昭和産業に入社したのもラグビーがきっかけだという。「ラグビーは1人の力ではできない。クラブに所属している全員の力で強くしていく。そして、まじめにやっていると花開くスポーツだ」。所属クラブではキャプテンも務めた。「当時、チームには150~160人の部員いて、いろんな考えの人がいた。それを取りまとめるのは大変だったが、(今の)糧になっている」。人を生かす術は充分に心得ている。
国内マーケットの縮小や原材料の安定調達の問題など業界を取り巻く環境は厳しさを増している。今後の展望については「人口も減ってきているなか、どうやって会社を伸ばすか。食のグローバル化が進むなか、東アジアを中心としたビジネス展開を図りたい。また規模の利益からM&Aも進む。今後は厳しい状況のなかで揉まれている業種が生き残っていくだろう」。(10/2)
国領順二(こくりょう・じゅんじ)
1960年生まれ。1984年に昭和産業に入社。同社仙台支社、製粉部、広域営業部などを経て、05年にスウィングベーカリー社長に就任。08年3月から昭和冷凍食品社長。趣味はジョギング、料理。「元気よくあいさつする」がモットー。


