約200店舗まで拡大したセルフ式のうどんチェーン「はなまるうどん」。2000年、香川県からスタートし、讃岐うどんブームもあって02〜03年にピークを迎え、店舗数が飛躍的に増えた。低価格のイメージが強いが、商品の品質にはかなりのこだわりを持つ。
「麺もダシもPB。麺は自社工場で製造している。うどんの製麺は気温、湿度などいろんな環境の変化が微妙に出来上がりに影響するので、デリケートな管理を行っている。また物流にも特別なノウハウがあり、ほんとの生麺を、できるだけ打ちたてに近い状態で、お客様に召し上がってもらう」。ブーム以上に、こういった本物へのこだわり、確かな品質が、支持された要因の一つだろう。
しかし、ここ数年は業績がシュリンクし、1店当たりの月商もピーク時の半分近くまで落ち込んだ。業績回復に向け、03〜05年にかけてさまざまなメニュー開発に取り組んだという。「シンプルなかけうどん、ぶっかけうどんだけではお客様に飽きがきたのではと考え、季節メニューを出したが、その間も客数は減り続けた」。
最大の原因はサービスレベルの低下にあった。「アンケートで、お客様が求めているものは『熱いものを熱いうちに出せ』、『接客をなんとかしろ』といった基本的なことであることが分かった。これまでもやってきたつもりだったが、リピートにつながらなかったのは、QSCのレベルが低かったからにほかならない」と気づかされたという。
そのため、季節商品フェアや販促を控え、徹底したQSCのレベルアップに乗り出した。「とにかく店のQSCレベルをお客様の目線から容認できる最低水準まで引き上げること。(同レベルを)ABCDの4段階にランク分けし、まずはBまで持っていこうと去年1年間かけてやってきた。
今年はAの比率を65%まで上げることが目標だ」。そのほか笑顔と元気が素晴らしいアルバイトに対して優秀スタッフカードを渡し、枚数を競いあうといったキャンペーンを1年近く継続し、意識向上に努めている。
これらの成果を受け、今上期(1〜7月)の既存店売上高は回復してきた。「今、ようやく失ったお客様の信頼を取り戻しつつある」。一方、同社では食育活動にも積極的だ。主要な客層である若い女性に向けたアピールを強化している。
「ダシは日本の誇る文化であり、お店ではダシパックでダシをとるなどこだわっている。ちゃんとしたダシをお店で召し上がっていただくことは食育にもつながる。そういう意味で将来母親になる若い女性に数多く利用してもらえることは嬉しいこと。店頭には若い女性がうどんを食べている写真を置いている。ちゃんとした食事をはなまるで食べませんかという提案だ」。
今後の課題はただの「安いうどんや」のイメージからの脱却だ。「あまり言葉に出すと嘘っぽくなるが、表現物によって品質を訴求していくことが必要。去年から取り組んでいる」。食材や品質へのこだわりを、さりげないかたちで訴求する。(8/23)
河村泰貴(かわむら やすたか)
1968年生まれ、大阪府出身。93年に吉野家ディー・アンド・シーに入社。04年はなまるに出向、取締役はなまる事業本部副本部長に就任。05年執行役員経営企画室長、06年はなまるに転籍、取締役副社長兼経営企画室長に。07年社長兼はなまる事業部長に就任。


