日清食品は10月1日に持株会社制へ移行し、冷凍食品事業会社「日清食品冷凍」が新設された。麺類だけでなく、惣菜カテゴリーにも名乗りを上げ、総合冷食メーカーを目指す。
国内の家庭用冷食で足元を固めることが当面の課題となるが、冷食の主戦場となる冷凍惣菜に関しては最後発。総需要を拡大する方向での提案に注力する。
今秋の新商品では高齢者向けのブランド構築を目指した。「付加価値をわかってもらえる商品を仕上げて、ビジネス展開していきたい」と言う。
冷食分野は「食品の中で数少ない成長分野。少子高齢化が進み、どのようにパイを広げるかを考えるとき、冷食は高齢者の食生活に合った商品」との認識を示す。テーマとして打ち出しているのは「ライフスタイルマーケティング」。これを「どのように展開するかが重要だ」。
「子供は小学校、高校までで弁当から離れてしまう。一方で父親の弁当にふさわしいものがない。あるいは大人のおつまみになるものはどうか。自分の生活に照らし、自分のために考えるのがライフスタイルマーケティングの始まり」。
「自分は買わないけれど、ターゲットには売れる」ではなく「実生活から出たものでなければ成功しない」との信念がある。
一方、同社で注目されるのはブランド戦略。即席麺では「食べること」と「ファッション」を融合させて、若者を中心に即席麺の発展につなげた。
高齢者をターゲットとしたブランド構築には「食べることを楽しむこと」を打ち出したい考えだ。「お年寄り2人の家庭できちんとしたものが作れるだろうか。材料費も割高になる。そういったものを冷凍食品に持っていきたい」。
もっとも、冷食惣菜で最後発となる同社にとっては、市場をどのように創造していくかが重要な視点となる。「安いものだけでは広がっていかない。産地にこだわったちょっといいもの、変わったもの、など冷凍だからできるものがある」と戦略を練る。
とはいえ安価商品の追求にも同時に取り組む。「海外品への逆風はあるが、工場ばかりでなく農場を含めて、直営あるいは契約でしっかりしたところと組んでやってかなければならない。ただ、検査体制では550種類の農薬・医薬品のロットごとの検査を自社で行える体制が整っている。それが最大の武器とも言える」。今後も安全担保の部分にコストをかけていく考えだ。
国内での再投資により省力化・高速化を図る考えも明かす。「冷食のように多品種、少量生産でも、機械化できる部分はある」。
注目されるCVS(コンビニエンスストア)の開拓については「アイデアは3つあるが、設備投資も必要なので状況を見極めたい。近いうちにCVS商品は開発したいし、冷食業界がやっていかなければならない部分」とするにとどまった。
日清食品グループの国内冷食売上高は連結で400億円弱。計画に掲げた3年後の500億円は「それほど難しい数字ではない」という。(11/13)
松尾昭英(まつお・あきひで)
1949年生まれ。73年日清食品入社、01年同社執行役員チルド食品事業部長、02年同社取締役、03年同社生産本部長。05年同社常務取締役、兼日清エフ・ディ食品社長。08年2月日清食品低温事業本部長。同年10月、日清食品の持株会社制移行に伴い、日清食品冷凍社長兼日清食品チルド社長に就任。


