青木春雄氏は08年12月11日にマルサンアイの新社長に就任した。下村釟爾会長から、「技術畑で育っており、少し違った味を出し、新しい豆乳の市場、本業のみその特色を生かした経営をしてくれる」と期待を寄せられている。
青木氏はいわゆる生え抜きであり、“マルサン一筋”で歩んできた。国内・海外ともに、新しい事業のほとんどに携わり、手腕を発揮してきた。
「大豆を素材とした食品業界でオンリーワンの企業になりたい」と抱負を語る。その中で、特に豆みその全国拡販と、豆乳の加工技術の応用を進めながら、みそ、豆乳を全国・海外に広めていく。
みそは、「中京地区の豆みそを加工分野にまで推し進める」と意気込み、豆みその全国展開とともに加工品への応用提案に力を入れる。みそではこのほか、昨年11月に子会社の玉井味噌で新たに天然蔵を設け、稼動を始めた。玉井味噌を信州みその生産拠点としながら、高付加価値商品の拡販を進める。
豆乳は、一昨年のイソフラボン騒動の影響などで低迷していたが、昨年5月以降は前年実績を上回り、回復基調にある。「大きな枠で大豆の良さが見直され、豆乳もその一つとして少しずつ伸びている」と青木氏は見る。
豆乳は、新たな製菓・製パンでの加工利用など、業務用に特に力を入れる。また、新品種の国産プレミアム大豆「きぬさやか」を原料とした豆乳の拡大と加工品への展開に力を入れる。「きぬさやかは品種改良し特許を取得した大豆で、豆の渋みや青くさみを除いた大豆。さらっとした飲み心地で、この豆乳の積極販売と、加工への利用を広げる」と強調する。
みそ業界で、成長が期待される海外市場にも力を入れる。同社の海外展開の状況は、アメリカ、韓国、東南アジア、一部欧州に輸出、このうち韓国が70%を占める。「海外は物量ベースで1000トンをクリアしているが、これを2、3年で倍にしたい」と目標を掲げる。
特に一番人口の多い中国市場でみそと豆乳を拡売するために、昨年4月から中国に営業マンを置き、中国での拡売体制を強化した。「当社における韓国の市場を作った」(下村会長)と評価されている青木氏だけに、手腕が注目される。
主原料の大豆の調達先が多様化する中、生産国での変化に対応するべく調達ルートを確立し、安全・安心な原料の安定確保にも努める。同社は現在、カナダ産Non-GM(非遺伝子組み換え)豆が主流で、アメリカでは、関連会社のアメリカン・ソイ・プロダクツで有機大豆の共同契約をしている。この他の国の大豆も、数年前から研究を進めている。「大豆は自己調達を積極的にやらないと安定確保できない」とし、急ピッチで布石を打つ。
将来に向けては、“魅力ある会社づくり”を掲げ、企業価値のさらなる向上に努める。「若い人が夢を持てる魅力的な企業にしたい。我々の技術はすぐに修得できるわけじゃない。教育を今まで以上に積極的に行う」と強調する。(1/22)
青木春雄(あおき・はるお)
1946年生まれ。69年マルサンアイ入社、91年9月開発本部副本部長、同12月取締役、99年取締役関連事業本部長、01年取締役生産本部長。04年2月玉井味噌社長。同12月マルサンアイ常務取締役、05年常務取締役生産担当、08年4月取締役副社長、同12月代表取締役社長。


