昨年4月、カティサーク・インターナショナルとの資本提携を解消し、バカルディ社の100%子会社となったバカルディ ジャパン。世界的な経済不況と国内の景気後退に伴い、マーケット全体が厳しい状況下、プレミアムスコッチとコニャック「カミュ」こそ前年を割り込んだが、ジン「ボンベイ・サファイア」、スタンダードスコッチ「カティサーク」が前年並み、ラム「バカルディ」6%増、スーパープレミアムウォッカ「グレイグース」4%増と、確実に実績を重ねた。
酒類の中でも景気の影響を受けやすい業務用市場だが、「店頭価格に左右されやすい小売より、逆に影響が少なかった。確かに短期的に見ると厳しい状況だったが“業務用市場で、プレミアムホワイトスピリッツを確立する”という方針を貫いたことで乗り切ることができた」と振り返る。
これは、福田氏がイギリスでスミノフのブランドマネージャーとして働いていた頃の経験から、「ホワイトスピリッツに重点をおかないとだめだと感じた」ことが発端にある。ビール会社がハードリカーやスピリッツも販売するのは日本の酒類マーケットの特徴だが、スピリッツだけを同じ土俵で売っていくのは厳しい面もある。しかし、福田氏のプレミアムホワイトスピリッツを信じる思いや、バーをはじめとする業務用に集中した営業活動が、着実に実を結んだ。
今年、同社は4月1日から、レミー・コアントロー社(以下、RC社)商品の輸入販売提携を開始する。景気見直しのめどが立たない中の出発となるが、「だからこそ、新しいチャンスをもらえることを幸運に思う。出た結果はすべてプラスになるのだから、いいほうに考えてバランス良くやっていきたい」と、あくまで前向きだ。
ただ、今回新しくポートフォリオに入るRC社の商品群でも、リキュール「コアントロー」や「パッソア」は同社の既存マーケットにフィットするが、「レミーマルタン」のXOなど高価格帯商品のマーケットは、TOT(トラディションオントレード)、いわゆるホステスクラブなどがメーンになってくる。「TOTビジネスにどう参入するかはチャレンジ。営業スタッフ増員などで、さらなるマーケティング力強化を図る」。
既存商品では、昨年モヒートやホットラムティーなどで継続的にプロモーションを仕掛けた「バカルディ」、ミクソロジストでブレイクした「グレイグース」に加え、固定客の多い「ボンベイ・サファイア」、昨年導入したプレミアムテキーラ「カサドレス」の業務用キャンペーンを強化する。
また、「バーはプレミアムスピリッツを知ってもらう貴重な場」と、バー文化復権にかける思いも強い。「かつては上司が部下を連れてバーに通ったものだが、最近は居酒屋ばかりが幅を利かせ、本当のお酒の味を知らない若い人が多すぎる」と嘆く福田氏の趣味は、もちろんバーめぐりだ。(1/29)
福田恵男(ふくだ・しげお)
1978年一橋大学卒業後、ニッカ入社。89年IDVジャパン設立に関わる。94年、IDV・UKに駐在し、スミノフのブランドマネージャーを務める。ヒューブライン ジャパンを経て現職。好きなお酒は、「凍らせたグレイグースのショットから始め、最後はデュワーズでしめたい」。ダイビングやボートも趣味で、昨年一級船舶免許を取得。先日はボートで神田川を走ったそうだ。


