ホーム > この人の出番 > 第70回 畜産生物科学安全研究所 理事長 松原謙一氏

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この人の出番

独自研究や環境問題にも対応 畜産生物科学安全研究所 理事長 松原謙一氏

平成17年6月に財団法人畜産生物科学安全研究所理事長に就任した松原謙一氏。同研究所は畜産・食肉産業の中で地味な存在だが、食肉の安全・安心の確保、食品衛生の向上を支える縁の下の力持ちという存在。松原理事長は、「今後は、国や民間からの委託事業のほかに、研究所独自の研究や環境分野の対応も積極的に行っていきたい」と、新たな分野への取り組みへの意欲を語る。

昭和49年に畜産振興事業団の出資を受け農水省所管の公益法人試験研究機関として発足。その後、飼料安全法に基づく農林水産大臣の指定検定機関となり、薬事法、飼料安全法、化審法等に基づくGLP適合を取得、平成元年に農水省、厚労省共管の財団法人となり食品衛生法及び薬事法に基づく厚生労働大臣指定の検査機関となる。

「設立当時は7人のスタッフだったが、現在では約100人の所帯となり、獣医師や薬剤師などの専門スタッフも揃っており、博士号取得者も12名いる」という。組織は、安全性研究部、生物工学研究部、分析試験研究部、臨床試験研究部、企画調整室からなっており、外部からの請負による臨床試験や薬の残留期間の分析などを行っている。最近は、「鳥インフルエンザワクチンの感染試験による免疫調査や、黒豚品種のDNA鑑定、狂犬病のワクチン免疫抗体試験も行っている」という。我が国唯一の狂犬病ワクチン免疫抗体試験の指定機関で、台湾の指定施設にもなっている。

仕事のほとんどは国、民間からの請負だが、最近は独自の研究にも力を入れている。具体的には、環境中の薬の濃度の研究や、豚の回虫の自然感染モデルの作成などの研究を行っている。「独自研究を進めることで新しい真実も解明でき、学会やセミナー等で発表することで研究者の能力を高めることにもつながる。今後も独自の研究テーマを設定して幅広の対応を進めていきたい」と語る。また、臨床試験用の家畜、動物も多数飼っているが、ヨーロッパの動物福祉の基準に沿った対応をとっている。「最近、ヨーロッパの請負先の関係者が来て犬舎の改善を指摘されたので1匹4平米の犬舎に改善した」という。畜舎も含めてだが、動物福祉の見本事例がここにはある。

公益性の高い研究機関だけに信頼性の確保も重要。信頼性保証室に3人の専門スタッフを置いている。また、情報のセキュリティのほかに、外部から病気が入らない、野生動物が入らないための動物のセキュリティにも万全を期している。今後の課題については、「信頼性確保のため国際規格認証取得(ISO)、動物医薬品等が市販された後の審査の依頼も増えているので情報の収集と蓄積。家畜の糞尿や動物医薬品が環境にどう影響しているのかなどの仕事も増えているので、新たな分野への対応を強化していきたい」という。地味な仕事だが、食料品の安全確保という面では重要な仕事。それだけに、独自の研究や環境問題などの新しい分野の対応にも余念がない。(2/12)

松原謙一(まつばら・けんいち)
1948年横浜生まれ、71年北海道大学大学院獣医学部卒、74年同大学大学院獣医学研究科修士課程修了。49年農水省畜産局衛生課入省、02年農水省生産局畜産部長、03年に(独)肥飼料検査所理事長、05年6月に現職の畜産生物科学安全研究所理事長に就任。趣味はドライブ、ゴルフ、軟式テニス、庭いじり、日曜大工と幅広い。