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この人の出番

「食品安全」浸透へ新たな切り口模索流通・消費者の理解、簡易版の取り組みも必要 日本環境認証機構(JACO) 代表取締役社長 下井泰典氏

国際規格であるISOは、「環境」と「品質」では過去急カーブを描いて業界へ浸透が進んだものの、「食品安全」(FSMS=22000)はその必要性は認識されながらも拡がるペースは思いのほか遅い。社長就任から8ヵ月、審査受託で新たな切り口も模索し始めている。

会社は94年に電機・電子10社などにより設立、まだ15年にも満たない若い会社で6代目の社長となる。東芝から転進し、この間同社取締役を5年ほど経験。前社ではテレビのブラウン管作りに携わっていたという。「大手電機メーカーでも人員削減などが進む中、食べ物業界は急拡大もなければ、大きく減ることもない。心強い業界であり、大いに期待している」と開口一番の言葉である。

就任時は内外に向け、「群雄割拠・弱肉強食・値引合戦・体力勝負」の4文字熟語で認証事業をこう表現したという。JAB(日本適合性認定協会)に登録しているだけでも53機関、その他を入れると国内に70を超す企業数で、まさに群雄割拠の様相を呈している。

審査対象企業は80~100社ないと損益が成り立たないと言われ、現在未達は20社ほどある。「弱肉強食で、値引合戦が進み、体力がないと生き残れない」状態で、折角取得してもISOを返上したり、引抜による移転なども横行しているという。しかし「これも費用対効果の問題で、そのための魅力アップに努力も必要」と。認証業界は天気で言えば曇り、「世界同時不況により認証取得の先送りなど今後が懸念される」とみる。

ISOで過去急速に拡大した環境(14001)や品質(9001)は今や横ばいの状態で、情報セキュリティ(ISMS=27001)や労働安全衛生(OHSMS)、さらには食品安全のFSMS(22000)も増加傾向にはあるが、急上昇は望めないのが現状。

「食品安全」など専任部隊を持つ企業が少ないことが急成長を阻んでいるとする。こんな現状を打破するには、経営者へのアプローチと認証取得企業が社会的に評価されることも重要である。また先の長い話だが、「製品認証ではないのでJISマークのようにはいかないが、一番強いエンドユーザー=消費者に理解してもらえる風土作り・国を含めたPR努力も必要」と訴えている。

さらに、「グリーン購入法や調達法などのように流通業が奨励し、優先的に扱うような動きが出れば…」と期待感も覗かせる。確かに「難しく説明し過ぎて」入口で拒否反応を示している面も否めない。「PDCA程度なら知っていても、システムをはじめ不慣れなことが多い」と指摘する。

「FSMAの簡易版のようなものがあってもいいのでは」と提言。「環境」でも国内版のほか、英国版でベースとなる認証システムがある。人材不足・専任部隊という受け皿がない中で、「とにかく理解者・ファンを増やすこと」が重要とし、「初年度は33点、2年目は66点、3年目で100点に取れるように3年計画で認証取得できるものがあってもいいだろう」と。(2/26)

下井泰典(しもい・やすのり)
1947年生まれ。75年東京大学工学系研究科精密機械工学専門課程、同年東京芝浦電気(現東芝)入社。77年東京大学工学部博士号取得。01年東芝環境保全推進部長。03年日本環境認証機構取締役技術部長、以降同環境認証部長、同営業管理部長を経て、08年6月より現職。