日本名門酒会は「良い酒を 佳い人に」をスローガンに、全国約120社の蔵元と全国1,800店の酒販店を通して名酒を流通させてきたボランタリー組織。
良酒を造っている心ある蔵元と、意欲的で熱心な酒販店に呼びかけ、良酒を求める消費者に対して、満足できる美味しい日本酒を届けようという運動のネットワークだ。
その成り立ちは古く、今期35周年を迎える。「1970年代、大量生産・大量流通・大量消費という社会背景のなかで、良質の日本酒が市場から消えようとしていた時代があった。そうしたなか“民族の酒・日本酒の伝統を守り、良質で旨い酒を愛飲家にお届けしよう”と考えた」(飯田本部長)。地方の蔵元に呼びかけ、1975年2月に発足した。
昨年の会のイベントは、各地の友の会、加盟店の店頭試飲会などで267会場、1万7,600人が参加し、国内有数の日本酒ネットワークとなっている。
組織構成は、お酒の生産・流通・販売を担う「本部」「メーカー(蔵元)」「支部(地方の卸問屋)」「加盟店(酒販店)」に「消費者(愛飲家)」を加えて「同志的活動体」の「5角形」をなすヒューマン・ネットワーク組織としている。
35周年を迎え、これまでのマーケティングを更に深化させる考え。コミュニケーションサイト(SNS)である「日本酒天国.COM」を4月上旬に本格稼働させる。これにより「5角形」が双方向でつながり、情報や価値を共に創出する。
具体的には1,会員登録をすると、自分だけの「マイページ」を持て、日記(ブログ)を書く、会員にメッセージを送るなどの機能を使える。2, 9つのコミュニティにサークル感覚で参加して、同じ興味を持つメンバーと情報交換が出来る3,ショッピングサイトで買い物ができる。名門酒会の日本酒を買いたいが「どこで買えるの?」という問い合わせがあったが、加盟店の紹介や、一部はその場でも購入できる――などのコンテンツがある。
新しいマーケティングに取り組む背景には「明らかに潮目が変わったことが大きい」と言う。「今まで以上に、量から質へ、さらに上質から本質へ、というようにマーケットが深くシフトしている。従来の表層的、表面的な一通りの提案では、顧客の心に届かない」と分析する。
「企業から顧客へのアプローチの成功確率はどんどん低下しており“顧客は顧客の話しか聞かない”時代が来たとも言われている。今までとは違う、顧客とのコミュニティを中心としたマーケティングが必要な時が来た」との時代認識に基づくものだ。
「ピンチはチャンスとよく聞くが、ただのお題目では意味がない」と手厳しい。実際、そういったトップの言葉を聞くが、重要なことはその内実。それを明らかにしているという意味で飯田氏の話には十分な説得力がある。(4/2)
飯田永介(いいだ・えいすけ)
1956年東京生まれ。80年岡永に入社、94年同社代表取締役社長(日本名門酒会本部副本部長兼任)。95年日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)副会長、2004年長野県原産地呼称管理委員会・日本酒官能審査委員会委員、06年日本名門酒会本部本部長。趣味は旅行、読書、映画、祭り。本社ビル1階には日本酒バー「岡永倶楽部」も持つ。


