神奈川県横浜市の千田みずほ。国内に約200を数える米穀卸売業者のなかでも中堅クラスの規模にあたり、歴史は古い。前身の千田商店は、実に1919年(大正8年)の創業だ。コメ加工を目的とした子会社、みずほ物産を新潟に設置したのは76年(昭和51年)になってから。85年(昭和60年)に合併し、現在の姿に落ち着いている。
一方、現在の千田みずほは74年(昭和49年)創業の中央食糧と、80年(昭和55年)創業のジャンボリアを子会社におさめたことで、「千田グループ」を形成している。そのグループを束ねる千田社長に今回うかがったのは、主にジャンボリアの話。同社は当初「テイクアウトの弁当店舗チェーン」としてスタートしたのだが、89年(平成元年)あたりから徐々に弁当店舗へ炊飯米を供給するスタイルへと変貌を遂げた。
「現在では首都圏のほとんどの量販店にうちの弁当が入っている。変な話、コメ(千田みずほ本体)ではほとんど量販店とのつきあいがないのに、まるで量販店専門の米飯ベンダーのようになってしまった。ただしコンビニ弁当は扱っていない。後発だから参入しづらいということもあるが、先代の社長がコンビニ嫌いで、そのまま未だに扱っていない」と千田社長。
炊飯工場の趣きが強かったジャンボリア旧工場を改築し、弁当専門と言っていい「横浜フードセンター」が稼働したのは昨年8月26日。この工場が凄い。
特徴的なのは、工場内外の区別の厳格性だ。コメに限らず、原料・商品の搬出入には、常にパスボックス(エアロック)が設けられており、外部からの菌などの侵入を防ぐ。工場内の床は清潔区(緑)、準清潔区(黄)、汚染区(赤)に色分けされており、空気は緑から黄、赤へと一方向にのみ流れていく。作業室内の天井、壁に断熱パネルを採用、あらゆる金属がステンレス製になっている。
もっとも厳しいのは菌を持ち込みやすい人間に対する管理で、バキューム洗浄、粘着テープ、手洗い、次亜水タオル殺菌、アルコール消毒、エアシャワーの全てを経ないと入室できない。しかもこの工程をカメラで監視しているほか、入退室にはICタグで個別に管理している。
一方で千田社長が気を配るのは効率だ。「おにぎりは大半を自動化できるので利益率が高いと言われているが、弁当はどれだけ自動化しても最後に詰める部分だけは人手を使わないとどうしようもない。つまり人件費がかかる。したがってロス率を下げる、効率化が利益率を上げる唯一最大の手段。まだ道半ばで、毎日様々な発見と工夫がある。恐らく終わりのない作業で、常に完成度を上げていく努力を続けるしかない」。
ジャンボリアの売上高は24億円程度だったが、工場稼働後の3か年計画では初年度30億円をめざす。「今のところ、ちょうどそんなペースで推移している」そうだ。(4/23)
千田法久(せんだ・のりひさ)
1957年(昭和32年)生まれ。上智大卒、82年千田みずほ入社。84年取締役、97年常務、05年(平成17年)から現職。ジャンボリア「横浜フードセンター」を案内してくれた際、普段テノールなのに社員と挨拶するときは何故かバリトンになる。炊飯ライン上で、コンベアからラックに炊飯釜を動かす2台のロボットアームに「こっちが『千田くん』で、こっちが『みずほちゃん』」と名づけるお茶目な側面も。


