ホーム > この人の出番 > 第79回 ミートコンパニオン 代表取締役社長 阿部昌史氏

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この人の出番

農家と消費者の橋渡し担う ミートコンパニオン 代表取締役社長 阿部昌史氏

「変化をしないことは後退を意味する。変化を恐れるな」。食肉に対する消費者のニーズが刻々と変化しているなか、この言葉を信念に、過去の成功事例や固体観念に捉われず、社長自ら変化することを率先する。同社は1974年に牛肉を中心とした食肉卸売業としてスタート。今年度で創業35周年を迎えるに当たり、創業者である父親から経営のバトンタッチを受けた。

「前社長時代からの家族的な社内風土と、常に会社を発展させていくバイタリティーを受け継ぎつつ、マンネリやワンパターンにならないよう、社内環境を整備していきたい」という。

少子高齢化などの影響で国内の食肉需要の大きな伸びが見込まれない中、食肉卸売業の競争は激化している。中小の業者同士が取引先や仕事を分け合いながら共存共栄していくことは難しい。「新たな事業に挑戦するには、ある程度の体力と、柔軟性に物事を考えられる体質を持った企業でなければならない」と、生き残るためには、M&Aも視野に、業界内でも一定の規模を持つ必要性を強調する。

食肉卸売業としての商売の在り方もそうだ。「生産と消費の中核的な立場にあるからこそ、農家が作った付加価値のある商品をできるだけ多く消費者に届けることが我々の使命である。仲間間で卸しているだけのような商売では、これからの時代必要とされなくなるのでは」と見る。

食肉業界ではいま牛肉の消費回復が大きなテーマとなっている。厳しい経済環境に伴い、食肉の消費も安値の豚肉、鶏肉に流れ、単価の高い牛肉の販売が苦戦している。そのため、いま同社では取り扱う牛肉について、新たな付加価値を模索している。

その答えのひとつが牛肉の「おいしさ」。極めて単純明快だが、牛肉の格付けは歩留まり等級と肉質等級の組み合わせで評価されるため、従来の評価にはない要素だ。「昔、新入社員から良い肉っていうものはどんな肉なのか聞かれ、当時の上司が『良い肉は儲かる肉だ』と答えた。ところが、その新入社員は『良い肉とは、おいしい肉だと思う』という。私もまさにその通りだと思ったが、当時は、おいしさというものを測定し、評価する基準が確立されていなかった」と振り返る。

そして近年、測定技術・機器の発達もあり、一部の産地では牛肉の脂肪の滑らかさや口溶け、風味に大きく関係するオレイン酸の含有率を「おいしさ」の判断基準として認定していく動きが始まっている。将来的には、自社のと畜場で処理した牛肉の評価のひとつに導入したい考えで「消費者が求めているおいしさの価値を提供いていきたい。生産者もおいしいと評価された牛肉が高く売れることで、より生産意欲につながるだろう」と期待している。(4/30)

阿部昌史(あべ・まさし)
1965年東京生まれ。91年ミートコンパニオン入社。99年日本カイハツミート代表取締役社長。01年ミートセブン代表取締役社長。06年アグリス・ワン代表取締役副社長。09年ミートコンパニオン代表取締役社長。趣味はサッカー観戦とバンド活動。バンドは主にビートルズ(ポール担当)を演奏。自前のレコーディングスタジオで演奏・録音するほどの本格派。