「女性は仕方なくそのお店に行くことが多い」「ファミレスに最初から期待は持っていない」これが外食チェーンに対する女性の本音と、渡部社長は強調する。
同氏は女性だけのマーケティング会社、デイジーヒルを1995年に設立。大手ファミリーレストランをクライアントにし、女性をターゲットとしたメニュー開発や、販促、物販などを総合的にサポート、成功へと導いた実績を持つ。
その実績が口コミで広まり、これまで事業を拡大してきた。最近では、大手惣菜チェーンをクライアントにして、揚げ物離れをしている若者達に、食事としての揚げ物の価値を再認識させる作業に取り組んでいる。
「外食は総合的に遅れている」というのが渡部社長の主張。相変わらず男性の発想から抜け出していない、というのがその根拠だ。そのため、女性に喜んでもらえる店舗作り、メニュー作りを最優先する。「食生活の主導権は女性が握っている。女性に影響され食生活を送っている男性が、女性向けに作ったメニューを敬遠するはずがない」という確信があり、ここ2年、さまざまな形で実証された。
「女性は浮気性で、常にもっといいものがあるはずとアンテナを張りめぐらせている。例えば、ランチにしても近場にはこの店しかないので、仕方なく行っているということを理解するべきだ」。
そして、人気の外食店になるためには、「ここは“おいしい何を”食べさせてくれる、ということを明確に示すこと」が求められていると強調する。
「多くの女性はショップリストを頭に持っている。例えば和食のお店といえば “サービスが良くゆっくり話ができておいしい焼き魚が食べられる店”といったかたちでジャンル別に4、5軒程度ある。そのリストにランクインするには、記憶に残る明確なウリを持たなければならない。メニューやサービスの開発コンセプトは提供側の強い思い込みによるお仕着せになりがちだ。大切なことは、いかに共感を得てもらえるか。広げるより絞りこむことがポイント」と語る。
事業の根幹をなすのが3000人のモニター調査員。働く女性や主婦・その家族などで構成される。その中にはカリスマモニターと呼ばれ、1人で約30人分に相当する影響力を発揮するメンバーもいるという。
同社の強みは女性たちのホンネを吸い上げること。グループインタビューでは「女性はとかく本音と建前を使いわけている事が多いので、あらかじめ多くの仮説を立て、インタビュアー自身もひとりの女性として話すことで、本音を導き出し、女性心理を深堀する事ができる」とする。
5月には「ボイスファーム」という調査会社を設立した。「これまでは、消費者の声が市場でカタチになるまでのサービスをトータルで提供してきたが、多くの企業の要望に応え、リサーチのみを提供する事業をスタートさせた」と、精力的に活動の輪を広げている。
(9/13)
渡部富美子(わたべ・ふみこ)
1964年生まれ。広告代理店を経て、95年に株式会社デイジーヒルを設立。小学3年生の息子を持ち、「子育ては修行」と言う。休日は子供と惣菜売場などにも出かけ「遠慮のない子供は試食のターゲットにされる。息子の舌もマーケッターである私にとっては重要な尺度。また、子供に対する接客を見てても勉強になる」と仕事に生かすことは忘れない。


